資産運用

企業年金とは何か理解していますか? 【年金を理解する】

企業年金とは、企業が従業員に対して年金を支給する仕組みです。古くは、厚生年金基金や税制適格退職年金という制度で、高度成長期には制度として力を発揮しました。

 

厚生年金基金は昭和41年に始まった、企業年金の代表的な制度です。「厚生年金基金」という別法人が基金の運営をします。名前が似ているため国が運営する「厚生年金保険」と混同されがちですが、別の制度となります。

 

厚生年金基金は、国に代わって行う「代行部分」と、厚生年金基金の「独自部分」とに、大きく分かれます。「代行部分」では、国に代わって厚生年金保険の掛け金を集めたり、掛け金に見合った額の給付をします。一方、「独自部分」は、それぞれの「規約」に基づいて掛け金も給付も決まります。厚生年金基金には会社単位で加入するため、基金に入っている会社の従業員だけが加入することになります。会社に勤める人であれば厚生年金基金に入っているかどうかは、原則加入している厚生年金保険とは違い、勤めている会社によって異なります。

 

厚生年金基金は、国に支払う厚生年金の保険料の一部を国ではなく別に作ったファンド(基金)に入れ、その基金を上手く運用することで国の厚生年金保険より手厚く年金を給付する制度でした。設計上は、厚生年金基金に加入している人は、厚生年金保険から給付される年金よりも多額の年金が約束されていました。しかし、バブル崩壊後、従業員に約束していたこの増額部分(利息分)を基金の運用から得ることが難しくなりました。低金利→マイナス金利と金融緩和政策が長く続く中で、運用難により、一部には、必要な年金の原資が準備できない企業も出てきました。また、給付の削減や「代行部分」の返上を行う企業年金基金や会社が出たり、現在価値分のお金を従業員に渡して、基金そのものを解散するケースも多数発生するなど、社会問題化しました。ピーク時には1800以上もあった基金でしたが、現在は600基金程度に減少しています。

その為、現在では企業年金制度は改正されています。具体的には平成13年に税制適格退職年金は廃止され、厚生年金基金の他に、以下に記載する制度を選択的に採用できるよう新しい制度として改訂されました。

確定給付企業年金・規約型
規約型は、税制適格退職年金と同じように、会社と社員との間のルールを決めた退職金規程や規約に基づき、会社が保険会社や信託銀行等と契約を結び制度を運営します。そして、契約した保険会社や信託銀行等は、会社に代わって、給付に必要な保険料(掛け金)を集め、集まった資金を運用し、給付するしくみになっています。また、給付に必要なお金の準備ができているかを、毎年確認するしくみがあります。

確定給付企業年金・基金型
基金型は、「企業年金基金」という別法人が制度を運営します。参加する企業はその基金に運営を任せ、掛け金を支払い、給付を依頼します。現在、企業年金基金数は600を超え、厚生年金基金から移行する基金以外にも、厚生年金基金が企業年金基金も作り、従来の厚生年金基金に加え確定給付企業年金のしくみも持つ基金も出てきています。

確定拠出年金(401k)
確定拠出年金は確定給付企業年金と同様に法律で最低限守らなければならない条件の範囲内で、会社ごとに拠出・給付のルールが定められます。確定拠出年金では、会社が掛け金を社員に支払った時点で、そのお金は基本的に社員のものになります。他の企業年金とは違い、従業員が受け取る給付額は、自分で運用している自己名義の口座にあるお金なのです。

中小企業退職金共済
単独で退職金制度を運営することが難しい中小企業のために、国の中小企業対策の一環として設けられた中小企業のための退職金の共済制度です。335万人が加入しています。(2017年3月末時点)以上の通り、制度は変わりましたが、長く続く低金利の環境下で、基金の増額が望み薄な状態は続いています。確定拠出年金や確定給付型年金の創設は、前進といえますが、運用環境が厳しい中では、年金制度の将来は、非常に厳しいと言えます。