アジア市場

マレーシアの2021年第1四半期GDPは減少幅縮小も、再度のロックダウン強化へ。

5月11日、マレーシア中央銀行が発表した2021年第1四半期の国内総生産(GDP)は、前年同期比で0.5%減少となった。4四半期連続で減少したことになる。ただ、事前予想よりも小幅な減少にとどまったほか、2020年第4四半期の同3.4%減からは減少幅を縮めた。第1四半期は、ロックダウン措置が限定的に運用されたことで、多くの産業で生産活動を継続できたことに加えて、半導体や医療機器への海外需要が増え輸出が18.2%増加、製造業の生産も6.6%増加したことが寄与した。GDPの約7割を占める個人消費は前年同期比で1.5%減だったが、昨年第4四半期の3.5%減からは改善した。政府支出は同5.9%増加だった。

 

2020年通年でのGDPは前年比5.6%減となり、マレーシアとしては、1997年のアジア金融危機以来の大幅な落ち込みとなった。マレーシアは、新型コロナウイルスの感染を抑制するため、昨年の大半を、移動や経済活動の制限を敷いて厳しく規制したことが影響した。マレーシア中銀のユヌス総裁は、オンライン記者会見で2021年を通じてマレーシア経済が回復を続けるとの認識を示し、2021年のGDPの伸びが6.0-7.5%の増加になると予想したが、楽観的には受け止められないだろう。

 

 

今年1月に宣言された緊急事態を受けて、部分的な行動制限を続けているマレーシアだが、再び新型コロナウイルスの感染者が急増している。5月10日に報告された新規感染者数は3,807人だった。これまでの累計感染者数は44.4万人、死者数は1,700人とされている。特に、感染力の強い変異種が確認されて感染拡大の第3波が懸念されており、マレーシアの医療機関にかなりのひっ迫が生じている。ムヒディン首相はこの事態を受けて、5月10日にマレーシア全土でのロックダウン(封鎖措置)を6月7日までの1か月間実施すると発表、州・地区をまたいだ移動や、懇親会を禁止すると通達した。教育機関・学校も閉鎖され、オンライン授業などに切り替えられる。ただ、経済分野の稼働を続けることは認めると説明した。

 

このロックダウンの再導入で、第2四半期の経済の見通しに狂いが生じることは間違いない。個人消費は、第1四半期を下回ることになるだろう。マレーシア中銀は、経済回復を支援するため緩和的政策を維持する方針であるが、物価の上昇圧力も相応に認められる状況で、消費の落ち込みと物価の動向の両方をにらみながら、難しいかじ取りを迫られている。

救いは、政策金利が過去最低水準とはいえ1.75%であり、手元にカードが残っていることだろう。この1カ月の影響を注視したい。