先進国市場

日本経済と国際情勢の現状と今までの変化

 

昨今のアメリカでは、通商問題がクローズアップされてきました。アメリカは、双子の赤字という問題(国際収支と財政収支の大幅な赤字)を抱える一方で、経済的に著しく成長した日本や中国は、貿易収支で大きな黒字を上げてきました。

 

日本は1950年代から急成長し、1970年代には、資源の乏しいという不利な条件にありながらも、外国から原油や鉱産物・原材料などを輸入し、当時は豊富で安価にあった労働力を使い、高い技術水準を達成して、国内で加工・製品化し、それら製品を外国に輸出して、大きな利益を得て、経済発展を遂げました。これが、日本が得意としてきた「加工貿易」です。

 

中国も、鄧小平が唱えた「改革開放」により、産業振興を図り、安価で大量にあった労働力を使って、加工・製造を中国国内で行って、価格競争力のある製品を外国に輸出し、巨大な利益を上げました。これが今日の中国の成功に繋がったことは言うまでもありません。

 

 

一方で、日本も中国も、自国の市場を外国に開放してきたかといえば、肯定はできません。農産物や自動車などは、外国のものが輸入しづらいように関税をかけたり、輸入基準を高く保って、外国産の農産物や製品を、競争上不利な状態にしていました。輸出ばかりを振興し、輸入には制限をかけると、収支のバランスが均衡せず、一方にだけ黒字が偏るようになって、経済的な問題が発生します。トランプ大統領は、巨額の貿易黒字を抱えながら、一方で、米国産のものを締め出すようなこうした規制が、フェア(公正)ではないと、主張して、貿易黒字の削減を、日本や中国、欧州に求めています。

 

実は日米間の貿易不均衡問題は、長い時間を遡ります。

1960年代後半は繊維製品、1970年代は鉄鋼製品、1980年代は電化製品と自動車が、日本から米国にどんどん輸出され、大きな問題になりました。1980年代には通商問題がピークを迎え、日米自動車摩擦と言われるほど、日本の米国への自動車輸出は、巨額の貿易黒字を稼ぎ出しました。トランプ大統領が、関税措置をカードとして、よく振りかざすことは皆さんも御存知でしょうが、米国の通商法301条は、大統領に関税実施の権限を与えているもので、{スーパー301条}といわれていますが、それは、1980年代に日米通商摩擦が激化した頃によく耳にした法律です。

米国は、関税措置で日本に圧力を掛け、「日本の内需拡大と市場開放」を強く求めてきました。結果として、日本は、牛肉やオレンジなどの農産物の輸入数量制限を撤廃したり、日本の自動車メーカーが、米国に工場進出して、生産を移転することにより、日米貿易摩擦を収束させました。

 

 

日本の貿易黒字はまだ高水準にありますが、輸出依存度は、急降下しています。2018年の経済産業省のデータによると日本の輸出依存度は、15.2%に低下しています。輸出依存度が高い国では、オランダの66.0%などがありますが、相対的には、日本の輸出依存度は高くないと言えるでしょう。

1980年代の米国との貿易摩擦をきっかけに、市場を開放して、内需型経済への転換を進めたことや、日本国内消費の多様化・消費性向の変化は、外国製品への需要を増やしました。その結果、現在では、輸出依存度は低下し、内需消費型に変化したのです。

 

今後、少子高齢化社会が進行する日本では、国内市場だけで、産業を発展させていくことは難しいといえるでしょう。国際情勢の変化も考慮しながら、如何に経済政策を取るのかが問われる時代になっていくでしょう。