市場予想

IMFは世界経済報告で成長加速を予測するも先行き不透明感は根強い

変異種の影響強まるか?

7月は、先進国各国でロックダウンの解除が実施され、これまで抑圧されてきた飲食や旅行などへの消費が拡大し、持続的な経済回復への途が付いた曜日思われた。
しかし、変異種の感染拡大は、これまで同様の措置では、止めきることができず、米欧日とも感染が拡大し始めている。また、一部ワクチンの効果に関する疑問も相まって、経済的な悪影響を抑えるための手段として、ワクチン接種を進めるとの戦略にも、ブレが生じるようだと、市場にはネガティブな影響も出てくるだろう。

筆者は、少なくとも、既にワクチン接種がある程度進んだ国と、接種率が低い国との間の経済回復までの時間に大きく影響することを懸念している。すなわち、各国の経済回復へのスピード感が異なることが、世界経済の足かせになるということである。

実際に、2021年に期待されていた新興国経済だが、回復速度が緩慢とならざるを得ないなどの影響が出始めている。

IMFが世界経済予想の四半期見通しを更新

国際通貨基金(IMF)は先週7月27日に、世界経済見通し(WEO)を発表した。WEOは筆者が世界経済をマクロでみる際に最も参考にしているレポートのひとつであり、メルマガ読者のみなさんにも、是非目を通していただきたいものである。

さて、そのWEOによると、IMFは2021年の世界経済の成長率予測は6.0%のまま、前回の水準に据え置いた。世界経済は2020年に▲3.2%と減少したものの、そこからは回復し、リバウンド効果もあって、2021年には6.0%と40年ぶりの高い成長となる見通しである。ただ、新興市場国の成長率予想は6.3%と4月時点の前回予測6.7%から下方修正した。一方で、先進国の成長率予想は前回予測の5.1%から0.5%幅で上方修正され5.6%と見込んでいる。新型コロナウイルスのワクチン普及は、先進国と新興国で差が出ており、経済成長でも成長までの時間差を広げると予測している。来年、2022年の世界経済の成長率予想は前回見通しの4.4%から4.9%に上方修正した。

国別では、2021年成長率予想は、米国7%と4月時点の6.4%から上方修正したほか、ユーロ圏は4.6%、中南米5.9%、中東4.0%など、それぞれ予測を引き上げた。しかし、日本は2.8%で4月予想の3.3%から下方修正したほか、アジア地域の新興国は7.5%成長と1.1%引き下げられた。

 

不透明感は根強い

IMFは同報告書の中で、ワクチン確保の可否が、早期に景気回復に向かう国と経済的に苦境に立たされる国を分けることになっていると指摘し、2021年中にさらなる活動正常化が望める国々と、感染拡大に苦しむ国々との間で、成長率に大きな差が出ると指摘した。先進国・地域は、その大半が前者に入る一方、新興国の多くは、後者のグループに入ることが予想されている。拡大する格差を是正するために、先進国・地域は余剰ワクチンを比較的貧しい国に提供するべきだとIMFは指摘した。

また、感染者数が減少した先進国の国々でも、変異種の感染リスクが拡大していることがリスク要因として改めて指摘された。また、成長見通しに関するリスクは依然としてダウンサイドに傾いているとして、不確実性は依然として高いと指摘した。