市場予想

米FRBは年内にもテーパリングへ

ジャクソンホール・シンポジウム終了

米カンザスシティー連銀が主催するジャクソンホール・シンポジウムが開催された。夏休みの終わりに開催されるからか、米地区連銀のみならず、主要中銀の総裁も参加する、恒例の大規模な金融監督当局の首脳会議に、いつの間にか昇格した感のある会議である。今年はさすがにオンライン形式で開催された。

注目されたパウエルFRB議長の発言は、米国経済と米国雇用市場が、一段と顕著な進展を遂げており、FRBが実施している債券購入策の段階的縮小(いわゆるテーパリング)について、今年中に縮小を開始する見通しを示す内容だった。

 

驚く内容ではないが、量的緩和姿勢には変更近し

 

7月下旬に開催された直近の連邦公開市場委員会(FOMC)会合の見解をなぞる形で、パウエル議長は、米国経済がおおむね予想通り進展した場合には年内に資産購入ペースの縮小を開始するのが適切となると説明しており、特段驚きはない。加えて、利上げの開始時期については、テーパリングとは切り離された別の議論だと、市場が動揺しないように抑えとなる発言も欠かさなかった。ちなみに、利上げについては、「米国経済が最大限の雇用を達成する状況に至り、インフレ率が一定期間2.0%を適度に超える軌道に乗るまで、フェデラルファンド金利の誘導目標のレンジを今後も現行水準で維持すると表明してきた」と説明したうえで、最大限の雇用を達成するという状況には、まだまだやらなければならないことが多くあるうえ、インフレ率が持続的に2.0%に達したかどうかは、相応に時間が経たなければ判断できないとして、当面の間、据え置く意向を示した。FRBとしては、市場との対話には腐心しているが、市場の反応を見る限り、これも上手くいったと評価すべきなのだろう。

 

タカ派増えるFRB内部

このところFRB関係者には、資産購入策の縮小を早期に開始すべきとの声は大きくなりつつある。タカ派の筆頭は、カプラン・ダラス連銀総裁で、彼は先週も9月に開催予定のFOMCで債券購入の段階的縮小を決定し、10月には、それを実行に移すべきであると述べた。ブラード・セントルイス連銀総裁も、秋にテーパリングを開始し、2022年第1四半期末までには、完全に終了するべきとの発言をしている。今回のジャクソンホール・シンポジウムの主催者であるジョージ・カンザスシティー連銀総裁も、年内にテーパリングの開始すべきと語った。

上記3人の地区連銀総裁は、今年のFOMCで投票権を持たない。地区連銀総裁の投票権は年ごとの持ち回り制で、ジョージ総裁もブラード総裁も2022年には投票権を持つのみである。しかし、上記のような発言が聞こえてくるあたりは、FOMCでの議論の一端をうかがわせる。経済統計からは、今年第1-2四半期ほどの急速な成長には陰りがみられ、デルタ変異種の感染拡大の影響は少なからずさらされていながらも、米国経済が一定の適応力を示していることもうかがえる。パウエル議長をはじめとするFRB首脳は、我慢強く慎重な見方を崩していないものの、タカ派の声に押し切られる形も有り得るということだろう。また、米国では住宅価格が高騰し、バブル的な現象も見受けられるため、資産購入は批判の対象になり得る。将来に禍根を残さないためにも、テーパリングに着手し、早期に完了しておくべきと判断に傾くことはあり得るだろう。