先進国市場

ECBが理事オフサイト会議へ~10日の理事会は意思決定の先送りか

ユーロ圏経済は回復基調強める

明日10日に開催が予定されていた欧州中央銀行ECB理事会に市場は注目していたが、9日にロイター通信が伝えたところでは、ECB理事会メンバーが、今月18~20日の日程で、フランクフルトでのオフサイトミーティングに集まるという。
戦略見直しに関して議論するとも報じられており、ECBのインフレ目標を再定義するほか、格差の是正や気候変動対策でECBが果たす役割について議論する可能性を指摘している。新型コロナウイルスの流行後で初めて、理事会の構成員25人が対面で協議することになる。

足元でユーロ圏経済は堅調である。先週6月1日に発表されたユーロ圏の製造業購買担当者景気指数PMI(5月)の改定値は速報値の62.8から上方修正され63.1と1997年6月に同調査が開始されてから最高値を記録した。同3日に発表された総合購買担当者景気指数PMI(5月)改定値も57.1と4月の53.8から急上昇し、こちらも2018年2月以来の高水準でコロナ禍前まで戻してきた。
新型コロナウイルスの感染拡大で経済的に大きなダメージを被ったユーロ圏経済だが、昨年末から外需の伸びにより製造業が先行して回復期に入り、年初からは域内の行動制限も段階的に緩和され、域内の需要が拡大するに伴い、サービス業も製造業に追随する形で上向いてきた。サービス業の見通しに関する指数は4月の68.4から71.2に上昇し、これは2004年1月以来の高水準である。内外需とも、2018年以降で最も旺盛な拡大がみられ、ユーロ圏の今年第2四半期の経済成長率は前期比1.5%に達するとの予想も出ている。

雇用も回復、インフレ率は上昇

景気の回復は、失業率の改善にも寄与しており、ドイツでは失業者数(5月)が前月から15,000人減少して274万人となった。失業率(5月)こそ6%で前月と変わらなかったが雇用市場が広範に改善している兆候がいくつも示されており、活動制限措置が緩和されるにつれ、雇用市場が改善していることをわかる。

一方で、気がかりなのは、ユーロ圏の消費者物価指数CPI(5月)が前年同月比で2.0%上昇したことだろう。これは、市場の事前予想を上回る上昇で、ユーロ圏内全体がロックダウン措置の影響を受けた昨年5月との比較では、エネルギーの値上がりが顕著で、その影響もある。ユーロ圏で経済規模の大きい4大国(ドイツ、フランス、スペイン、イタリア)ではいずれもインフレ率が上昇した。行動制限措置が解除され始め、需要回復に供給が追い付かないことで、価格の上昇がみられた。食料品や燃料などを除いたコアCPI(5月)は前年同月比0.9%上昇にとどまっているが、インフレ率の上昇をどう受け止めるかは意見の分かれるところだろう。

 

ECB理事会は10日開催。しかしオフサイトミーティング開催の怪⁉

現状をどう分析・解釈するのかは非常に難しい。ECBが10日の理事会では議論をし尽くすことができないと判断した可能性はあるだろう。経済が回復軌道にあるなかで、インフレ率も上昇しているという中、欧州中央銀行(ECB)が金融政策のスタンスをどうするかは非常に注目される。既に、一部のECB理事からは、インフレ率の上昇を気にした発言が出ており、そうした見方が多数を占め、政策の方向感を変えるのか、ラガルド総裁をはじめとする執行部がこうした意見にどう対処するのか、市場は注目している。

明日10日の理事会では、方向感は出ないと読むべきだろう。オフサイトミーティングの議論が気になるところである。