代替資産(金や仮想通貨)

センチメントは悪化も中長期投資のスタンスが重要~暗号通貨市場

暗号通貨急落

暗号通貨ビットコイン(BTC)は5月19日のアジア時間の取引で、続落し、一時31,000ドルを割り込んだ。イーロン・マスク・テスラ社CEOが、5月12日に、同社製EV車の購入代金支払いにビットコインを受付けないことを発表したことが引き金となったショックは続いている。マスク氏が、ビットコインをテスラ社の資産として購入し、製品の代金として受入れると公表した2月8日から、暗号通貨相場は活況を呈し、上昇が続いていたが、この1週間ほどで、その上昇分を全て失ったことになる。19日の欧州時間の取引では、ビットコインは値を戻し35,000ドル近辺を回復したが、4月に付けた64,000ドルの高値からは、ほぼ半値近くまで下げたことになり、相変わらずのボラティリティ(変動率)の高さである。
イーサ(ETH)も、19日の安値は2,000ドルを割り込み、執筆時点の20日香港時間零時には2,300ドル近辺まで戻したものの、4月高値の4,300ドルからは半値水準である。

市場参加者は、イーロン・マスク氏の発言で上昇し、また彼の気まぐれな発言で急落したことに対して、辟易している。相場操縦とは言わないが、こうしたマッチポンプ的な相場を、市場は嫌う傾向にある。今後、暗号通貨相場への信頼感が回復するには、時間がかかるだろう。

もちろん、マスク氏の発言だけが暗号通貨相場を押し上げたわけではない。昨年末あたりから、市場に参入する参加者は増えていた。特に法人や機関投資家が、保有資産としての取引のしやすさや透明性が向上したことを評価して参入してきたことは、暗号通貨に対する見直し買いを呼んだ。加えて、大手金融機関の取り組み姿勢も前向きに転換した。5月6日には米投資銀行のゴールドマンサックスがマーケットメイクするというニュースが流れ、5月8日にもシティバンクが何らかの関連業務を開始するというニュースが市場を駆け巡った。ビットコインだけではなく、イーサの取引量が増加していることやイーサのプラットフォームである「イーサリアム」のブロックチェーン技術がアップグレードされたこともニュースとして取り上げられた。市場のすそ野は着実に拡大してきたことは疑いがない。

ただ、今回はタイミングが悪すぎた。良くも悪くも、今年に入ってから4月までの上昇が急すぎたところもあるだろう。暗号通貨への支持を明確にしていたマスク氏の方針転換は、市場を驚かせた。市場参加者は、不意を突かれたとの思いを強くしている。更に悪いことに、18日には中国人民銀行が仮想通貨を決済手段として認めない方針をあらためて確認し、一部の参加者には諦め気分が漂った。

長期保有スタンスは変わらず

筆者も、暗号通貨の相変わらずの変動率の高さには手を焼いているが、市場の厚みが増していることは間違いがないこと、機関投資家による取引環境の整備が整ってきていることで、暗号通貨の市場は、長期的には拡大するとの従来からの見方を変えていない。むしろ、変動が激しい中では、こうした急落したタイミングで少しづつ持ち高を増やしていくことが重要であると考えている。そして、購入タイミングを分散して市場へのエントリーを心掛け、長期保有を基本とした、投資スタンスを維持することを推奨する。