市場予想

中国市場:米ドル金利低下で人民元高に

5月7日に発表された米国雇用統計(4月)が、予想したほど強い景気回復を示唆するものでないとの解釈が広がって、米ドル長期金利の先高観は後退した。これにより、為替相場では、主要通貨に対して米ドルが下落している。

特に、2020年もGDP成長率2.3%増とプラスを維持し、今年も堅調なペースで成長を続ける中国経済を背景に、相対的に人民元の上昇は際立っている。今年3月頃は、米ドル金利の上昇によりドル買い圧力が強まって、人民元の上昇に一服感も見られたが、前述の雇用統計(4月)が引き金になり、米ドルの下落圧力が顕在化、人民元は対ドルで上昇に転じ、5月9日には一時、1ドル=6.4230元と2018年6月以来の高値を付けた。これは、今年1月の年初来高値6.4245元を上回ったことになる。

 

コロナ禍に見舞われ、大きな影響を受けたことは、中国経済も例外ではない。しかし、徹底的な感染抑制策を採った後、金融財政両面で景気下支えに手を尽くし、国内需要を喚起することで、他諸国に比べて早く景気回復への道筋を付けた。今年の全人代で発表されたGDP成長目標は6%程度だが、既にこの成長率が控えめに見えるほどに経済は巡航軌道に載せてきている。金融政策では、中国人民銀行は、過剰流動性が引き起こす株式や不動産市場の過熱を警戒しており、金融リスク抑制に向けて、超緩和政策から正常化への出口を模索している。

 

経済指標では、5月7日に中国税関総署が発表した貿易統計(4月)によると、輸出は前年同月比32.3%増の2,639億ドル、輸入は同43.1%増の2,210億ドで、輸出・輸入とも1月から4カ月連続で2桁の伸び率だった。貿易収支は428億ドルの黒字だった。続く5月11日に、中国国家統計局が発表した卸売物価指数PPI(4月)は、前年比6.8%上昇と、事前予想の6.5%を上回って約3年ぶりの高水準だった。いずれも経済が活気づいていることを示唆している。

 

資本流入や高水準の貿易黒字と、中立化を指向する金融政策(つまり金利の先高観)を背景に、人民元高は今後も継続する公算が高い。中国人民銀行は、日々、米ドル・人民元為替相場の中心レート設定で、元高のペースこそ抑制するだろうが、スピード調整に終始すると思われ、人民元高への明示的な介入はないだろう。当面の予想レンジは、1ドル=6.35~6.50人民元で、人民元じり高を見込む。