アジア市場

中国恒大は売買停止続く(香港取引所・5日)

中国恒大集団の株式を一時的に売買停止

10月4日、香港取引所は、中国恒大集団の株式を一時的に売買停止とする措置を取った。グループ企業の恒大物業集団も売買停止となった。どうやら、合併の話が出ているとか、株式の上場を維持できないような事情が発生するなどの観測が出ていた。恒大の関連会社でも、電気自動車製造の中国恒大新能源汽車集団の株式は売買が継続した。午後になると、香港上場している中国の不動産会社、合生創展集団が、中国恒大物業株の過半数株を取得することで合意したと中国・財聯が報じた。合生創展は時価総額では中国で13位の不動産会社である。5日朝の段階で、中国恒大と恒大物業からは、何らのコメントも発表されていない。

 

先週の利払いは行われず

中国恒大集団は、9月23日と29日に予定されていた米ドル建て社債の利払いについて、一部で報道されていたようには、実行できなかった。元建て債の利払いも、場外での交渉を通じて解決されたとの説明だが、どのような条件で合意したのかについては明確になっていない。また中国政府の関与も、うやむやなままである。プロフェッショナルの取引の場である債券市場では、政府は、同社の直接救済には関心がないように見える。特に、オフショアで発行された債券について、関わりを持つ気配は全く見えない。10月中には、クロスデフォルトの危機や、債務再編交渉がヤマ場を迎えると予想されるが、中国政府が何らか救済に関与する可能性は極めて低いのではないか。今後の利払いについても、方針ははっきりしていない。先週、資金調達のために、傘下の地方銀行やを中国恒大新能源汽車集団を売却すると発表したものの、殆どは債務の返済がやっとの資金繰りで、10月以降も年内に立て続けに社債の利払い期限が来る。資金繰りは火の車である。

ダブルスタンダード?

一方で、中国当局は、中国恒大の銀行口座を監視下に置き、口座からの現金支払いには承認を必要とする措置をとったことが確認されている。地方の関連当局も、恒大集団の不動産開発事業のためのエスクロー口座(保全のための別段管理口座)に保管されている資金が流用されないよう監督を強化した。恒大集団が関与し未だ完成していない集合住宅の購入者は160万人に昇ると言われている。その完成と引き渡しを着実に行わなければならない。400億元相当の残高があると言われる理財商品については、政府主導で、2年半を掛けて10分の1づつ返済をしていく計画を立てて、先週、個人投資家への説明を済ませている。また、大手市中銀行に対しては住宅購入者向け与信の緩和と不動産業者から貸し剥がしをしないよう要請したとも伝わる。また、中国人民銀行は、今週の長期休暇(中国は10月7日まで連休)を跨ぐためとの理由で、先週、銀行間の短期金融市場に4,600億人民元(約8兆円)を供給した。国内と国外では、やや対応が異なるダブルスタンダードのように見える。

リングフェンスを張られた恒大集団

こうした一連の動きは、中国が恒大集団にリングフェンス(隔離措置)を適用するものにほかならない。中国恒大はすでに実質経営破綻しており、破綻処理に入っている。中国政府にとっては、住宅購入者や個人債権者がの不満が噴出して社会問題化したり、二次的な影響が中国国内市場や国内経済に及ばないようにすることが重要なのであろう。国内優先で、恒大集団の秩序立った処理を淡々と進めるというのが基本的な方針のように見える。

ただ、破綻処理が中国政府の思い描いたとおりに行くかどうかは、まだはっきりと確信は持てていないだろう。中国株式相場では、他の不動産開発会社の株価は急落し、社債の価格も乱高下が続いている。不動産市場全体への波及や、社会問題化の阻止に腐心しながらの綱渡りは続くだろう。