アジア市場

中国経済は堅調を維持

中国経済は、引き続き好調を維持

4月の中国経済指標はこじっかり

中国経済は4月引き続き拡大局面にある。経済指標は、高水準を維持し、経済が引き続き拡大していることを示唆している。4月の工業生産は前年同月比で9.8%増加、3月の同14.1%増からは伸び率が低下したが、高い水準を維持した。固定資産投資も1-4月の累計で、前年同期比で19.9%増と、ほぼ予想通りのペースで拡大している。製造業の生産や設備投資は堅調で、輸出も海外からの旺盛な需要増加で伸びるなど、活況を呈している。

国内消費は、対照的に落ち着いた動きを見せている。小売売上高は前年同月比17.7%増で、3月の同34.2%増からは低下した。これは前年の数字が新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためにロックダウンが実施されたことの影響で小さくなっていたため、ある程度想定された反動増だった。失業率は5.1%に低下し、コロナ禍前の水準に回帰している。消費が製造業や雇用市場の強さに比べると延びていないのは、先行き不透明感から、消費者の先行きに対する信頼感が今一つ芳しくないことを示唆しているのだろう。消費者の慎重姿勢が続くと、成長率の拡大ペースが鈍る可能性もあり注意が必要である。

4月の経済指標を総合してみると、中国経済は引き続き拡大傾向にあり、中国政府が今年の目標として掲げるGDP成長率年6%超は、達成する角度が高まっている。中国経済の活況による需要拡大は、世界経済にとっても需要の下支え役としても機能しており、特に欧州経済はその恩恵を大きく受けている。

中国当局は資産バブルを警戒

一方で、中国当局は、昨年大規模に実施した景気刺激策の縮小を模索している節がある。当局はことあるごとに資産や不動産のバブルを嫌う傾向にあるが、今回も量的金融緩和政策が将来の資産価格の高騰に繋がりかねないことを憂慮している。不動産価格のベンチマークのひとつである新築住宅価格は4月に8カ月ぶりの高い伸びを記録した。主要70都市の新築住宅価格(4月)は、前月比で0.48%上昇し、3月の同0.41%上昇を上回った。中国政府の介入をほとんど受けないといわれる中古住宅市場でも、4月の伸び率は3月と同水準の同0.4%である。余談だが、中国は、まだ都市化率が低く、大量の人口を農村部に抱えている。この人口が都市に流れ込んでくることによる潜在需要は大きい。買い手側の潜在需要は強いことが価格の上がりやすさに繋がっている面もある。いずれにしろ、今回の景気回復局面でも、需要は強いことがうかがわれる。

中国人民銀行が、今年に入り、やや抑制的なスタンスにシフトしたことで、中国の貸出量の増加は鈍っている。このため、経済成長率が第1四半期を境に、今後、ピークを打って低下する可能性はあるだろう。このあたりは、3月の全人代で、GDP成長率の政府目標を思いのほか低く設定したこととも平仄はあっている。
中国人民銀行は5月17日、中期貸出制度(MLF)を通じた1年物資金を1,000億元、短期金融市場に供給した。今月満期を迎える同額のMLFによる資金をロールオーバーしたことになり、春節の頃の抑制的な姿勢とも若干異なる。今回は、潤沢に資金の流動性を確保して、企業借入れコストを低い水準に据え置く意図が見える。1年物金利も2.95%に据え置かれた。

抑制的な政策への転換はまだ少し先

新型コロナウイルスの感染者が増えるリスクは依然大きい。中国人民銀行は、資産価格の過度の上昇とインフレ率の上昇を抑制しながら、景気のスピード調整を図る意図である。
金融緩和政策を明確に転換して、インフレ抑止型の引締め政策に踏み切るには、難しい判断が要求されることになるが、しばらく時間がかかるのでないか。米FRBもそうだが、主要国の中央銀行が直面する課題は類似してきている。