代替資産(金や暗号通貨)

ビットコインが一国の法定通貨に!

初日、暗号通貨市場は大荒れ

9月7日、中米エルサルバドルでは、正式に、暗号通貨ビットコインを法定通貨とした。暗号通貨が、ついに、一国の法定通貨として認められたのである。ただ、道は平たんではない。いろいろと問題が起こり、ビットコインの価格は市場で急落した。暗号通貨らしいと言えばそれまでだが、相変わらずのボラティリティで、波乱含みのスタートとなった。

法定通貨化初日には、エルサルバドル政府の公式電子ウオレット「CHIVO(チボ)」がアップル、グーグル、ファーウェイのアプリ配信サイトでダウンロードできないという事態に見舞われた。ブケレ大統領が深夜に、ツイッターで3社を名指しで批判し、リリースを迫り、その後、ファーウェイでダウンロードが可能になった。その後、チボのユーザーに対し30ドル相当のビットコインを給付するキャンペーンが効きすぎたのか、アクセス集中により、利用者登録の申請にアプリが対応できなくなり、政府は容量を増やすために接続を一時的に解除せざるを得なくなった。また、首都サンサルバドルでは、市民が法廷通貨化に反対するデモを繰り広げた。エルサルバドルの人口の約半分はインターネットへのアクセスがなく、貧困層を中心とするインフラの未整備がビットコインの普及を難しくする可能性があるという。格付け会社ムーディーズはエルサルバドルの信用格付けを、法定通貨化決定後に引き下げ、同国のドル建て債券は売り圧力を浴びている。

暗号通貨の売買高も急増し、コインベースやクラーケン、ジェミナイなど暗号資産交換所を通した取引に遅延が発生した。これに加えて、世界銀行は、「エルサルバドル政府からビットコインの法定通貨化に関して支援を求められたが、環境面、透明性の点で欠陥があることを踏まえ、世界銀行としては支援できる対象ではないと判断した」との声明を発表した。確かに、法定通貨化により、マネーロンダリングを助長する可能性をどう抑え込むか、手当はされていない。こうしたニュースを受け、ビットコインは荒い値動きとなり、週初につけた4カ月ぶりの高値の52,900ドルから46,000ドル台へ10%以上急落した。

米SECの「不可解な行動」

8日には、仮想通貨を品貸しすることで金利を稼げる仕組みである「レンド」を導入する計画について、米証券取引委員会(SEC)がコインベースを提訴する可能性を示唆した。「レンド」は、年利回りで4%程度が得られるとう触れ込みで、貯蓄口座に代わる高利回り商品として事前受付を始めていた。残念ながら、コインベース社は少なくとも今年10月までは、「レンド」の導入を延期する方針を明らかにした。しかし、同社のアームストロングCEOは、SECが「極めて不可解な行動」を取ったと批判した。何も指針が出されていないのに、法的措置の危機にさらされていることは不条理であり、訴訟はSECの最後の手段であるべきだと主張した。

市場参加者は、暗号通貨へ未来が平坦な道が開けているわけではないことを認識させられた。エルサルバドルでのビットコインの法定通貨化を前に同政府は400ビットコインを購入したが、そうしたニュースに踊ってビットコインを買い仕込んでいた投資家にとっては、痛い「Buy rumor, Sell fact」となった。

来年初には、1ビットコイン=10万ドルの予想も

主要国の中央銀行は、暗号通貨について、信用度とユーティリティ性、価値の変動の激しさの3点から、通貨としては認められないと、批判してきた。しかし、昨年末ごろから、北米の参加者、特に個人ではなく法人や機関投資家が一部の暗号通貨に触手を伸ばしている。ユーティリティ性も、使用可能な場所が増え続け、大手オークション会社であるクリスティーズでさえも、代金決済に受け入れるようになった。価値の変動の激しさは相変わらずだが、参加者が増え、先物などのヘッジ手段が増えれば、落ち着いていくと推測できる。各国の当局からの批判や、規制強化の流れは認めざるを得ず、時間はかかるだろうが、すそ野の広がりを考えると、まだまだ伸びていくだろう。因みに、大手英銀スタンダード・チャータードの暗号通貨リサーチ部門は、ビットコインの価格が、来年初めまでに現在の約2倍の10万ドルに達するとの予想を発表した。また、ビットコインは、世界中の銀行口座を持たない人々の間で、キャッシュレス決済で主流になる可能性があり、中・長期的には175,000ドルに達する可能性があるという。そこまで、短期間での上昇は期待しないが、長期的には、ポートフォリオの端に持っておくものではないかと引き続き考えている。