アジア市場

中国経済指標からは異変も…新車販売と物価指数(8月)

生産者物価指数が大幅上昇、価格転嫁が懸念される

中国国家統計局が9月9日に発表した生産者物価指数PPI(8月)は前年同月比9.5%上昇だった。7月の9.0上昇からさらにペースアップした形となった。この上昇幅は約13年ぶりの高い伸びである。

生産者物価を押し上げている要因は、商品価格の高騰である。中国政府は商品価格の上昇を抑制するため、原油備蓄の放出など供給拡大を図っているほか、売り惜しみ対策などの措置を講じているが、これまでのところ効果は限定的で、歯止めはかかっていない。

消費者物価指数CPI(8月)は前年同月比0.8%上昇だった。7月の1.0%上昇ほどではないが、上昇は続いている。変動の大きい食品やエネルギーを除くコアCPIは前年同月比で1.2%上昇となった。

卸売物価が上昇している一方で、消費者物価は8月も相対的には上昇が抑えられており、統計上は、生産者物価高の波及は見られない。これは、中国政府が新型コロナウイルス・デルタ変異種の感染拡大を抑え込むために、都市部で厳しい行動規制を採ったことから、航空券や観光、宿泊など旅行サービス支出が大きく落ち込んだことが影響している。

消費者物価と生産者物価の上昇に乖離が生じているとはいえ、これは生産者段階から消費者段階への価格転嫁の時間差に過ぎない。卸売物価と消費者物価の上昇率の差は、統計上は過去の最大水準に既に達している。消費者物価への波及がどれほどのスピードで進むかが問題となるだろう。

中国新車販売台数は前年同月比大幅減

9月10日に、中国自動車工業協会が発表した新車販売台数(8月)は前年同月比17.8%減の180万台だった。これで、4カ月連続して前年同月比で減少を記録した。これは、半導体の世界的な供給不足が主なボトルネックとなり、部品や部材の供給が遅延しているためで、自動車生産には深刻な影響が広がっている。トヨタも日本での減産を発表しているが、中国もその例外ではない。自動車産業はすそ野が広いため、中国経済にも、相当に影響は広がることが懸念される。

乗用車11.7%減、商用車は排ガス規制強化の影響で42.8%減だった。商用車の減少は排ガス規制強化による影響が大きく出た形である。「新エネルギー車」(電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)など)は同2.8倍の32万台と初めて月間30万台の大台に乗せた。中国政府は、新エネルギー車の普及を強力に推進している。

今年1~8月までの累計販売台数は前年同期比13.7%増の1,656万台だった。これは、2020年前半に、新型コロナウイルスの感染拡大抑制のために、厳しいロックダウン措置をとったことが影響して、自動車販売が大きく落ち込んだことによる反動増の部分が大きい。

人民銀行のかじ取り難しく

やや一服気味の経済成長に配慮して、中国人民銀行は、金融政策は緩和スタンスを打ち出している。中小企業などの資金繰りを支援するとして、追加の金融緩和を的を絞って行っているが、生産者物価が持続的に上昇すれば企業収益は圧迫されて、景気の足かせになることが懸念される。また、インフレ率の上昇が一時的なものではなく、持続的に続く可能性が高まるようであれば、金融緩和策をどうかじ取りするかは難しくなるだろう。中央銀行は米FRBも、欧州ECBも同じ悩みに直面している。