先進国市場

4月米国雇用統計と5月米国議会

5月7日(金)に、米国労働省が発表した4月の雇用統計で、非農業部門雇用者数は26.6万人の増加と、事前の予想大きく下回った。また、失業率も、3月の6.0%から6.1%に悪化した。雇用市場の改善に期待していた金融市場にとっては、落胆させられる数字だったといえる。

 

バイデン米大統領は、4月の雇用統計の内容が、市場期待を裏切ったことを受けて、「4月の雇用統計は、米国政府が取っている行動がどれほど重要かををさらに裏付けた」と話し、景気を押し上げるためには、バイデン政権が提案する財政政策が必要であると改めて強調した。一方で、失業保険や個人への給付金が手厚く与えられたことで、仕事に復帰する勤労意欲がそがれているのではないかとの批判は、現実に即していないと否定した。

 

バイデン大統領は、雇用回復には長い道のりを経なればならないが、コロナ禍で2200万人もの雇用が失われ、経済が崩壊の危機に直面した状態からは、抜け出そうとしていると、経済回復への岐路に立っていることを強調した。

 

バイデン政権は、3月にアメリカン・レスキュープランとして1.9兆億ドル(約206兆円)規模の追加経済政策を成立させた。そして、4月には、ファミリープランとインフラ投資プランとして合計約4兆ドルの計画を提案している。これら計画は、議会共和党の反対にあっているが、妥協が成立するか、規模がどれほどになるかが注目される。

 

ただ、市場の関心は、投資だけではなく、その後に必ずやってくる財源問題に移っている。バイデン大統領は、インフラや社会的プロジェクトに巨額の投資を行う一方で、財源は富裕層などへの増税で賄うと公言している。しかし、財界にも財源を明らかにしない投資の議論には、効果を疑問視する声も多い。大手米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者は、インタビューで、「金をばらまくだけでは効果はない。米国は既に莫大な金額を無駄にしている」と述べ、財政支出に躍起になる現政権を批判した。ダイモン氏は、さらに大規模に財政を使って投資に乗り出すのであれば、道路などのインフラ投資や教育への投資というにとどまらず、より具体的な目標を示すよう求めた。そして、こうした計画に、誰が責任を負うのかをはっきりさせるべきだと語った。

 

5月は、再び、米国議会での議論に焦点が移るだろう。バイデン政権と議会民主党は、共和党からの疑問に答える形で、具体的投資の内容や実現すべき数値目標を、明らかにしていくことが求められる。そして、財源の議論も詰めていくことになるだろう。

市場への影響としては、財源の確保、増税の中身は非常に重要になってくる。富裕層への負担は増加することになると予想することは容易だが、具体的にキャピタルゲイン課税や税率の問題などは、株式相場の参加者の行動に直接的に影響することになる。過去の経験則で言えば、増税は向こう1年程度の株にとってのマイナス材料足りうる。5月の相場は引き続き注意が必要だろう。最高値付近での高値もみ合いが続く公算が高いが、米国債のウエイトはやや下げてもいい局面ではないだろうか。