先進国市場

FOMC要旨(4月)を読み解く~FRBの量的緩和策変更の前倒しの可能性も

4月FOMC要旨を読み込む

政策の変更には、まだ距離があるが、債券購入プログラムの変更が議論の俎上に上ってきたことに注意。

米FRBは5月19日、4月27、28両日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。それによると、引き続き、雇用の最大化と物価安定というFOMCの目標に、米国経済が顕著に近づくには、しばらく時間がかかる可能性が高いと慎重な見方を維持し、
米国経済の回復に関して、慎重な見方は維持した。しかし、超緩和的な金融政策のひとつとして行っている資産購入プログラムの規模の縮小を、今後のFOMC会合のいずれかの時点で、調整することを協議し始めるのが適切になるかもしれないと指摘した委員もいたことを記した。少数意見とはいえ、量的緩和政策を変更する議論を排除しないと明記したことは意味があろう。FRBは、新型コロナウイルスの感染拡大以降、大規模な資産買い入れと短期金利をゼロに維持することで危機的な経済状況を支えてきた。このFRBの政策の枠組みを、どう変えていくかが議論されていくという段階に入るのは、これまでパウエル議長を始めFRB高官が述べてきた時期よりも、早まるかもしれない。

4月のFOMCでは、政策金利はゼロ近辺で据え置かれ、資産購入プログラムも米国債で月800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)で月400億ドル購入する方針は維持された。4月のFOMCでは、雇用市場の改善が目立った3月の雇用統計が影響しており、4月の雇用統計は、強気の予想を覆す内容だった。したがって、市場は4月FOMCの少数意見が今後多数派になっていくのかどうかを見極めることになる。次回6月のFOMCでは、5月の雇用統計が判断材料として非常に重要になるだろう。

また、需要の拡大を背景に、商品相場が高騰し、インフレ懸念が頭をもたげてきていることも注意が必要である。FRB高官も認めるところだが、サプライチェーンを再構築中で生産者側の供給に難があることや、ワクチン接種増加に伴う経済活動の再開で需要が拡大していることから、インフレ率は足元で2.0%を上回る可能性が高くなっている。 議事要旨でも、一部の参加者は、このミスマッチ状況は、早急には解消されず、物価への上昇圧力が当面続く可能性があると記載された。

4月の消費者物価指数(CPI)は前月比で2009年以来の大幅な伸びを記録した。総合CPIは前月比0.8%上昇、前年同月比では4.2%の大幅な上昇を示した。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIも前月比0.9%上昇で1982年以来の大きな伸びで、事前予想だった同0.3%上昇を大幅に上回った。前年同月比では3.0%上昇だった。、FRBは一過性かつ短期的なものだとの認識を示している。4月のFOMCの時点では、長期での期待インフレ率はFOMCが目標とする平均2.0%近くを維持できるとの判断をしているが、火が付いてしまうと手が付けられないのがインフレである。4月のような物価指標が続くと、FRBにも判断を求められることになろう。

19日の米国株式相場は、S&P500指数とダウ平均は3日続落となった。10年米国債利回りは1.67%へ上昇した。インフレ率上昇やFRBが量的緩和策を縮小する可能性は、当面市場の重しとなろう。