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バイデン大統領の対中国政策は厳しい態度を維持(前篇)

バイデン米国大統領の就任から100日となった先月4月28日、バイデン大統領は演説を行い、今後の施政方針を示した。その中で、対中国については、以下のように発言している。

 

「中国の習近平国家主席との電話会談で、私(バイデン大統領)は、競争は歓迎するが、争いは求めていないと話した。一方で、アメリカの利益はしっかりと守ると明確に伝えた。アメリカは、技術や知的財産の盗用など、アメリカの労働者や産業の不利益になり、弱体化させる不公正な貿易慣行には断固として立ち向かう。また、私は習主席に、ヨーロッパでわれわれがNATOを通じて行っていることと同じように、インド太平洋においても紛争を防ぐために強力な軍事的プレゼンスを維持することを伝えた。アメリカは、人権や基本的自由、それに同盟国に対する責務から手を引くことはない。そして、基本的人権が明らかに侵害されている場合は、アメリカの大統領は自由主義社会のリーダーとして黙っていないと伝えた。」

 

前段は、トランプ政権から続く通商協議について、従来の米国政府の主張を維持し、踏襲することを明確にしたことになる。これを受ける形で、5月6日の米国下院・小委員会の公聴会において、レモンド商務長官は、バイデン政権が中国との通商協議に基づく貿易ルールの実行に関して、「必要なだけ強硬」な姿勢を取ると述べた。それには、バイデン政権は、一部の中国企業への投資を制限する措置について、中国に対する圧力を維持することも含まれるということだろう。そして、バイデン大統領の演説にあった通り、米国政府は、自国の労働者にとって有益な貿易ルールを実行するよう同盟国と協力するとした。それには米企業による製品販売に特別な許可を必要とする「エンティティーリスト」の管理の徹底や、相殺関税の事案も含まれる。

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昨年11月、トランプ前政権は中国人民解放軍と関係があると見做した企業への投資を原則禁止する措置を取った。禁止対象になった企業には、中国の通信大手3社が含まれる。さらに、昨年12月21日には、米国商務省が、中国とロシアの軍と関係があると見做した企業をリストアップした。このエンティティリストに掲載された企業は、中国とロシアの企業で、それぞれ58社、45社に上った。これらの企業を相手として、軍事転用される可能性がある物品を売却する場合には商務省の許可が必要になった。リストに掲載されたのは、中国航空工業集団(AVIC)の子会社7社やロシア対外情報庁(SVR)だった。

 

中国政府は、これらの決定に即座に反発した。しかし、米国政府は、中国の申し入れにも何らの緩和措置もとっていない。大統領が交代したこともあり、今後どうなるのかが注目されたが、バイデン政権は、これまでの流れを引き継ぐことを明確にしてきたということである。なお、リストに掲載された企業への投資については、米国の投資家はブラックリストの掲載されてから1年以内に売却することを求められる。昨年公表された当初リストに掲載された企業については、投資家は5月27日までに新たな取引を手じまい、11月11日までに完全に売却するよう義務付けられることになる。ウオール街には、この規制を緩和するよう求める声があったが、今は大きな声にはなっていない。

 

米中関係が今後しばらくは厳しいままだろうとの見方は広がっており、先週の米国株式相場では、アリババグループや百度(バイドゥ)、テンセント(騰訊)など大手中国企業の米国預託証券(ADR)が下げる場面もあった。

 

バイデン演説から抜粋した対中国に関する発言では、中段の同盟国との関係を維持しながら・・・とのくだりが気になるところであるが、この点は次回に触れる。