政策金利は据え置き
10月27〜28日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)では、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を3.75〜4.00%で据え置くことを決定した。今回の据え置きは市場予想通りであったが、投票は10対2と割れ、クック理事とハマック・クリーブランド連銀総裁の2名が0.25%の利上げを主張して反対票を投じた。
声明文では、景気判断が前回の「堅調(solid)」から「力強い(strong)」へと上方修正された。一方、インフレについては「依然として高い」との認識を維持し、政策判断は「より多くの情報の蓄積を踏まえて行う」と記され、追加利上げを急がない姿勢が示された。
ウォーシュ議長は会見で、経済活動が力強い拡大を続けていると評価する一方、「金融環境は引き締まりつつあるが、『タイト』と呼べる状況ではない」と述べ、必要に応じて行動する姿勢を維持した。ただし、12月会合での利上げについては明言を避け、「今後得られるデータが判断材料になる」として、データ依存のスタンスを改めて強調した。
FOMC閉会後の金融市場では、2名の反対票や景気判断の上方修正を受け、12月利上げ観測がやや強まった一方、議長がフォワードガイダンスを示さなかったことで短期金利は低下し、ドル円は会見中に157.85円近辺まで下落する場面も見られた。
市場参加者の大半は、FRBは次回12月のFOMCで利上げを再開すると予想されている。9月の米国消費者物価指数は、インフレの上振れリスクが残っていることを改めて示す強めのデータだった。この状況が続けば、FRBは予防措置として、一段の金融引き締めを行う可能性が高い。9月のドットチャートでは、追加利上げは1回にとどまっていたが、イラン戦争が終結せず、エネルギー価格が再上昇して、物価の上昇圧力は続いており、米国経済指標も強めの経済動向を示唆していることから、2027年もさらに追加引き締めがありうるとの観測は根強い。金融市場は2回の追加利上げを織り込んでおり、データがこれまでと変わらなければ、これは理に適ったものだろう。
マクロ経済の状況で見れば、物価は総じて上昇し、長期金利もここ20年間で最も高い水準に留まるなど、米国経済は逆風下にある。それにもかかわらず、米国経済は人工知能関連投資のブームもあって底堅さを保っている。しかし、今後は不確定である。また、石油価格がインフレにどれほど影響しているかを巡っては、見解がFRB内部で大きく分かれているのではないか。10対2という票決は、『さらなるデータ』を見極める必要があるとの認識を持ち、意見が分かれていたことを示唆するだろう。地政学的なリスクの下では、インフレのリスクを金融政策で抑制することはできないからである。