FFレートは3.50%~3.75%に
12月FOMC ~ 賛成9、反対3で利下げを決定
2023年12月9日および10日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)定例会合において、政策金利が0.25%引き下げられることが決定された。本措置は3会合連続の利下げとなり、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジは3.5~3.75%へと修正された。
パウエルFRB議長の記者会見によれば、今次利下げは雇用市場への潜在的影響を考慮した予防的措置であり、当該連続利下げが効果的であることが期待される一方、現在の金利水準は依然としてインフレ抑制のため十分な高さを保持しているとの認識が示された。将来的な展望については、関税の影響緩和や雇用市場の安定化、インフレ率の2%への収束が期待されている。
前回10月会合の声明では「追加的調整を検討する」とされていたが、今回の声明では「追加的調整の程度とタイミングを検討する」へと修正され、昨年12月の文言が再採用された。この変更は、追加利下げの時期および実施可能性に対する不確実性の高まりを示唆するものである。
また、本会合では投票の分散傾向が顕著となった。グールズビー総裁、シュミッド総裁、マイラン理事の3名が反対票を投じており、6月会合以降、全会一致による金利政策決定には至っていない。反対票の増加は、雇用市場の停滞とインフレ率の持続的上昇の双方が米国経済のリスク要因として認識されていること、そして委員間の見解の相違を浮き彫りにしている。10月の利下げ後、委員の一部はインフレの粘着性を警戒して追加利下げに慎重な姿勢を維持する一方、他の委員は雇用市場の弱含みに鑑みて追加利下げの必要性を主張した。
このような委員内の意見の乖離に加え、経済指標の不確実性やデータ取得の困難性が存在する中でもFOMCは利下げ政策を断行した。パウエル議長およびウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁による事前発言からは、これらの政策判断に対する積極的支持が窺える。ただし、今後の判断は複雑さを増すものと予想される。
最新の四半期経済報告においては、FOMC委員による政策金利予測の中央値は2026年および2027年に各1回の利下げを想定しているが、参加者間の予想には大きな乖離が認められる。たとえば、2026年を通じて据え置きを支持する委員が7名、2回以上の利下げを支持する委員が8名と分かれている。
さらに、今次会合ではFRBが銀行準備預金の流動性確保のため短期米財務省証券の新規購入を承認した。これらの決定を受け、市場関係者の間では今後の金融政策運営に関する期待と懸念が交錯している。特に、経済指標や国際情勢の変動が次回以降のFOMC判断に重大な影響を及ぼすと考えられ、綿密な分析と柔軟な対応が求められる。米国経済の持続的成長と物価安定の達成には、FRBの政策スタンスへの注目が引き続き高まっている。