不動産市況の改善は見通せず
中国国家統計局が11月14日に発表した10月の主要70都市・新築住宅価格は、前月比で0.45%下落し、過去1年間では最大の下落幅を記録した。また、中古住宅価格も同0.66%低下し、これも直近13カ月で最大の下落率となった。
北京市や上海市の当局は、長引く不動産不況の改善を狙って、今年8月に住宅購入規制を緩和した。具体的には、同市に居住しない者にも、年金を3年間納めるなど条件を満たせば外環線外側の新築住宅を無制限に購入できるよう規制を緩和した。李強首相も、国務院の全体会議で、不動産市場の落ち込みを食い止める措置が必要であること強調し、対策を促している。
しかし、10月も、住宅価格の下落には歯止めがかからず、価格の下落はむしろ加速傾向にある。上述の通り、一部大都市で実施された住宅購入規制の緩和策も、効果は上がっておらず、不動産市場の回復には結びついていない。
不動産セクターの停滞は依然として顕著であり、在庫調整の進行と需給バランスの是正には、今後2年程度の期間を要するとの見通しも示されている。
中国では、不動産不況が長引いており、住宅価格の上昇が期待できないことで、買い控えなど需要の後退に繋がっている。住宅需要がピックアップしないことは、マクロ経済全体に対して下押し圧力となるほか、資産価値維持への不安を誘い、国内市場全体における需要抑制要因となっている。
中国政府は、米政府の関税による輸出への影響を和らげようと、国内需要を喚起しようとしているが、昨年9月に需要刺激策が発表された後も、改善の兆しは見られていない。
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