
金相場が最高値を更新
9月29日、金相場は1オンス=3,800ドルを超えて上昇し、金は前日比1.4%高の3,812.05ドルに達し、9月23日に付けた過去最高値を更新した。週足ベースでも6週連続上昇しており、断続的に金買いは続いている。背景には、米国で連邦政府が閉鎖に追い込まれる可能性が高まっていることがある。まさに、Fly to Safetyの流れで、金以外の主要な貴金属にも資金が流入、銀も前日比2.4%上昇したほか、プラチナとパラジウムも大幅高となった。
予算措置できなければ10月1日にも連邦政府機関は閉鎖
29日には、米議会指導部とトランプ大統領の会談が予定されており、注目が集まっている。万が一、合意がまとまらず、議会が現行歳出法の期限切れまでに新たな予算を承認できなければ、連邦政府は支出ができなくなり、政府機関は閉鎖に追い込まれる。議会は各機関に資金を配分する12本の歳出法案を1本も可決していない。ただし全ての機関が閉鎖となるわけではなく、その影響は閉鎖が発生する時期や期間、予算編成の進み具合によって異なる。トランプ政権は9月30日の会計年度末を前に、対応計画を急ピッチで書き換えており、今回の閉鎖が実際に起これば過去のどの事例よりも予測不能で、より深刻な状況になることが懸念されている。
ホワイトハウスの行政管理予算局(OMB)は9月24日、各省庁に対し、閉鎖時に誰が休職となるかを明記した対応計画を修正するよう指示した。省庁側は、OMBの承認が下りるまで計画を公表できないとしている。法律上、人命や財産の保護に不可欠な活動は継続される。これには軍事行動や法執行、食品検査などが含まれる。
大統領は憲法上の職務を遂行しなければならず、ホワイトハウスや通商代表部(USTR)は閉鎖中も業務を継続する。上院で就任が承認された高官は常に休職対象外だが、スタッフは不在となる可能性があり、執務を妨げられる可能性がある。議員の給与も、合衆国憲法修正第27条により支給が継続される。
雇用統計発表にも影響?
なお、政府機関が閉鎖されれば、10月3日に発表が予定されている9月雇用統計など重要な経済指標が予定通りに公表されない可能性がある。このところの雇用市場の変調は米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策判断=利下げの材料になったと考えられるが、雇用統計の発表が遅れれば、次回の判断にも影響しかねない。由々しき問題である。