
追加利下げで中銀預金金利は2.25%に
欧州中央銀行(ECB)は4月17日に開催した政策理事会で、預金金利を0.25%引き下げ、2.25%とすることを決定した。ECBは昨年6月から金融緩和を実施している局面にあるが、今回の利下げは7回目で、6会合連続での実施となる。理事会での決定は全会一致だった。
ECBは理事会の声明で、ユーロ圏では、インフレが抑制傾向にあると評価し、インフレを制御が順調に進んでいるとの認識を示した。また、経済成長の見通しについては、トランプ政権の関税政策による各国間貿易に緊張関係が生まれており、経済成長見通しが悪化しているとの見解を示した。また、「不確実性の高まりは家計や企業の信頼感を低下させる可能性が高く、貿易面での緊張に対する市場の否定的な反応は資金調達状況に引き締め効果をもたらす可能性」があると指摘し、「これらの要因は、ユーロ圏経済の見通しを一段と悪化させる」と警告した。ラガルドECB総裁も、理事会後の記者会見で、「異例の不確実性によって経済見通しは不透明になっている」と述べた。
今回の利下げについては、インフレ率を目標値の2%に収斂させるための措置であり、金融市場の安定を図る意図もあるという。そして、金融政策が「実質的に引き締め的でなくなりつつある」とのこれまでの表現を削除した。
異例の先行き不透明な状況
今後のECBの政策判断については、ユーロ域内経済の動向を注視しながら、必要に応じて適時適切に追加の政策対応を取るとした。ラガルド総裁は、会合ごとに決定を下す姿勢を強調し、「機敏な対応が重要になってくる」として、「これまで以上にデータを注視」する必要があると述べた。
金融市場には、今回の利下げはほぼ織り込まれており、驚きはなかった。10年ドイツ国債は小幅に買われ、利回りは0.03%低下の2.466%、為替はユーロドルは1ユーロ=1.13ドル台でほぼ動きはなかった。