
4月2日に発動へ
貿易戦争が本格化へ
3月26日、トランプ米大統領は、米国に輸入される乗用車やスポーツ用多目的車などのライトトラックに、25%の輸入関税の賦課を命じる布告に署名したと発表した。4月2日に発動、3日から徴収が始まる。
トランプ米大統領は「米国で事業を行い、この国の雇用や富、多くのものを長年にわたり奪っている国々に課税する」と語った。「米国製以外の全ての自動車に25%の関税を課す。まずは2.5%からスタートし、25%に引き上げる」とも述べた。「米国内で製造すれば関税はかからない」と付け加え、製造業の米国回帰を促す姿勢も見せた。自動車関税は既に実施されている2.5%の関税に上乗せされる形で実施される。トランプ政権の試算では、この関税賦課により、米国に年間1,000億ドルの新たな歳入がもたらされるそうだ。
また、トランプ大統領は、この自動車関税について、「恒久的」なものだと説明し、例外措置について個別に交渉することには、興味がないと発言した。
第1次政権では自動車関税の発動はなかったが・・・
一部報道によれば、関税の法的根拠は第1期トランプ政権が2019年に実施した通商拡大法232条による調査とみられる。この調査では、輸入自動車に対する国家安全保障を損なうと判断されたが、関税は発動されなかった。第2次政権では、就任後、急進的な姿勢を維持し、関税戦争も辞さない構えを示してきたが、本格的に関税を適用し、貿易戦争ともいえる状況を拡大させるものである。
自動車関税は、日本やドイツ、韓国をはじめとする主要自動車メーカーの米国外産製品が標的になる。しかし、米国、メキシコ、カナダにまたがってサプライチェーンを形成してきた米国の自動車メーカーにも影響は及び、生産に混乱が生じる恐れがある。米国内の自動車価格は押し上げられ、消費者の選択肢の減少し、販売数量にも影響するだろう。結果的に、米国内の製造業の雇用減少につながるとの見方もある。
大規模に関税が課される可能性
トランプ氏が署名した布告の詳細は明らかになっていない。ホワイトハウスによれば、完成車だけでなく、エンジンやトランスミッション、パワートレイン部品、電子部品などの主要な自動車部品にも関税が適用されるとのことである。適用対象品目リストは今後、拡大される可能性もある。
一方で、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が適用される自動車の輸入業者には、米国産部品について証明する機会が与えられ、米国産以外の部品の価値にのみ25%の関税が適用されるシステムが導入される予定としている。
各国からは非難の声
今回の自動車関税発動について、各国からは非難の声が挙がった。フォンデアライエン欧州委員長は「企業にとって悪いだけでなく、消費者にとってはさらに悪い」と遺憾の意を表明した。そして、今後、米国が数日中に予定している相互関税措置も視野に、影響を精査するとしたうえで、EUとして経済的利益を守りつつ、交渉による解決策を模索し続けるとの声明を発表した。
カーニー・カナダ首相は、この関税が自国労働者に対する「直接的な攻撃」だと非難したうえで、「労働者を守り、企業を守り、国を守る」と強調した。
日本への影響も大きい
石破首相は27日午前の参議院予算委員会で「何が日本の国益に資するかを考えなければいけない。どれが一番効果的か考えて、あらゆる選択肢を念頭に置いている」と述べて、「適切な対応」を考えていかねばならないとした。林芳正官房長官は、会見で米国の措置は「極めて遺憾」としたうえで、「改めて米政府に対し、措置の対象から日本を除外するよう強く申し入れた」と述べた。
日本の貿易統計によると、2024年の対米輸出は21.3兆円で、このうち自動車は28.3%の6兆円を占め、最も割合が大きい。関税が上がることで、日本の国内総生産(GDP) は、0.2%程度下押しされるとの試算も出ている。
金融市場への影響
自動車関税の発表を受けて、3大自動車メーカーの株価は、通常取引終了後の時間外取引で下落した。27日、東京株式市場の前場(午前中の取引)では、自動車株を中心に売りが優勢となり、日経平均株価は、276円安で寄り付いた後、一時470円安の37,556円に下げ幅を拡大、前引けは前営業日比353円安の37,674円に反落した。米中での規制強化の動きが報じられて米国市場で半導体株が売られたことも嫌気され、東証でも、アドバンテストなど半導体関連株は軟調に推移した。
来週には相互関税も発表へ
いわゆる「相互関税」の発表を来週予定している。トランプ大統領は「それは米国にとって真の解放記念日で、4月2日になる。私はそれを楽しみにしている」と話した。