22日イングランド銀行(BOE)は、金融政策委員会(MPC)を開催し、政策金利を4.50%から5.00%に0.50%幅引き上げた。利上げ幅が、0.25%幅か0.50%幅か見方は分かれていたが、イングランド銀行は、インフレ加速を許してしまった場合のリスクを回避するため、金融政策でよりタカ派のスタンスを採ったことになる。
前日21日には、英国の消費者物価指数CPIが発表され、前年同月比で8.7%の上昇と、事前予想を大幅に上回っていた。食料品やエネルギーを除くコアCPIの上昇率も同7.1%と4月の同6.8%上昇から拡大していた。再度、インフレが過熱し始めた兆しは、イングランド銀行に利上げの継続を迫り、利上げのペースを再度加速させる圧力となった形である。
強まるインフレ圧力
5月CPI統計の発表後、金融市場では政策金利が、今年12月までに6.00%に到達する見通しを織り込み始めた。これは、年内に計100bpsの利上げが実施されることを意味する。英国では過去40年で最速の金融引き締めペースにあり、今回の利上げで、13会合連続での利上げであるが、BOEが引締めの手綱を緩める気配はない。ただ、一段の利上げは、企業の調達金利にダイレクトに響き、住宅購入にも大きく影響するだろう。リセッション懸念が付きまとうイギリス経済の見通しは明るいものではない。
これにより英国債利回りは上昇し、10年英国債利回りは4.31%、2年英国債利回りは5.14%で先週の取引を終えた。英国債の逆イールド(長短逆転現象)は拡大した。英国経済の先行きに懸念を深めているということになる。為替相場では、英ポンド金利の上昇からポンド買いが入り、1ポンド=1.28ドルを一時超えた。ただ、週末にかけては1.27ドル台前半に反落した。深刻なインフレと成長率がマイナスに転じる可能性の高い英国経済の現状を考慮すると英ポンド金利の上昇だけを理由に、ポンド買いも進めにくい。基本的には1.28ドル台以上はオーバーバリューではないかと考えている。