パウエルFRB議長は先週5月19日、ワシントンで開かれた連邦準備制度主催の会合の準備原稿で、6月FOMCでの利上げ見送りを示唆した。昨年来の金融政策引き締めにより、FRBの金融政策スタンスは景気抑制的といえる水準に上昇した。これまでの引き締めによる効果が今後、出てくると考えられることや、国内外経済の不透明要因を考慮すると、当面、経済統計や先行き見通しの変化を注視して、慎重に分析する時間を取ることもできると述べた。
パウエル議長はまた、金融システムに生じたストレスを緩和し、銀行経営を安定化させるための政策ツールは、状況緩和に寄与したが、そうした緊張がもたらした信用状況の引き締まりは、資金繰りの困難や流動性の低下を通じて、経済成長や雇用、インフレを圧迫する公算が大きいと指摘した。そして、それは、金融政策を引き締めと同様の効果を持つため、FRBが追加引き締め政策を採る必要が低下し、政策金利のピークは低くなるかもしれないとの認識を示した。
パウエル議長が、6月FOMCで利上げを一旦休止し、様子見の姿勢に転換する可能性を示唆した。5月FOMCではフェデラルファンド金利の誘導目標レンジを0.25%引き上げ5.00~5.25%としたが、これは、3月FOMCで公表されたドットプロットでは2023年末のFF金利の水準であり、目処としていた水準に達しているという側面もあろう。
FRBとしては、ひとまずの目処としていた水準への引き上げを行い、景気抑制的と考えられる水準には達したことで、立ち止まって様子を見ることを選択しようということだろう。ただ、利上げ停止イコール、利下げではない。従前からのコメントの通り、金利は当面の間、高い水準に留め置かれると認識は変わらない。
次回のFOMCは6月13-14日に開催される。