香港・中国市場Dairy ~ 中国は約3年ぶりに国境を開放、ハンセン指数は半年ぶりの高値を記録
ハンセン指数 21,388.34 pt (+1.89%)
中国本土株指数 7,286.07 pt (+1.99%)
レッドチップ指数3,927.20 pt (+0.86%)
売買代金1,564億2百万HK$(前日1,482億8百万HK$)
先週末6日に発表された昨年12月の米雇用統計は、雇用市場の力強さを改めて示す結果となった。非農業部門雇用者数は前月比で22.3万人増と市場予想を上回った。一方、平均時給の伸び率は前年比で4.6%上昇にとどまり予想を下回った。インフレの要因でもある平均時給の伸びが11月分も下方修正され、伸びの鈍化が示唆されたことや、12月の米非製造業総合指数でも前月比で低下となり2020年5月以来となる50を割り込んだことで、景気減速観測が強まり、米FRBの利上げペースが鈍るとの期待が広がった。
このため、利上げ幅の縮小や高い金利水準の長期化への警戒感が緩み、株式市場にとっては、堅調な展開につながった。ただ、今週12日には12月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えており、それを待っての動きになるだろう。
雇用統計自体は、失業率が3.5%と歴史的にも最低水準に回帰し、人手不足が賃金を押し上げる構造には変化がない。労働参加率も徐々に上昇しており、直近の2022年12月は62.3%とパンデミック前の63.4%を下回る水準にはあるが、回復基調が続いている。雇用市場は底堅い状態にある。FRBが利上げを敢行するうえで、雇用の堅調さは視野に入れるべき重要な要素であり、この状態が続けば、金融市場にあるFRBのタカ派姿勢への警戒感はぬぐえないだろう。
香港市場も反発
9日の香港市場は、先週の断続的な買いの勢いが続き、ハンセン指数は前日比1.89%高と半年ぶりの高値を記録した。中国政府は8日に、新型コロナウイルス感染対策として実施してきた入国時の隔離義務を撤廃し、約3年にわたって事実上閉鎖していた国境を開放した。昨年12月から段階的に緩和を進めていたが、先週をもって「ゼロコロナ」政策は完全に終了した。
経済面では、中国当局の追加支援期待が強まっている。中国人民銀行の党書記は8日、景気浮揚策の一環として民間企業への支援を強化するとともに、ハイテク企業への取り締まりを緩和すると発表した。またオンラインプラットフォーム企業14社について金融事業の是正措置が完了したことを確認し、今後は健全な発展を促すこと、金融政策を通じて民間企業への支援を強化することを強調した。
この報道から、今後は監督強化が転機を迎え、ハイテク企業の業績拡大期待が膨らむとの見方が広がった。Eコマース大手のアリババ(9988)は前日比8.7%の大幅高。同子会社の阿里健康(0241)は7.7%高、スマートフォン大手の小米(1810)は7.7%高と大幅反発した。
リオープン銘柄も買いが先行し続伸。大手カジノの新濠国際発展(0200)は8.9%高、火鍋チェーンの海底撈国際(6862)は5.6%高、ウィンマカオ(1128)は4.7%高、オンライン予約のトリップドットコム(9961)は4.5%高と上げ幅が目立った。
主要銘柄も上昇し、香港取引所(0388)は4.1%高、保険大手の中国平安保険(2318)は3.9%高、インターネットサービスのテンセント(0700)は3.6%高、検索大手の百度(9888)は3.2%高と上昇した。
中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.58%高の3,176.08と6日続伸、CSI300は同0.81%高の4,013.12で引けた。両指数は約1カ月ぶりの高値まで回復し経済再開の進展と景気支援の期待が高まっている。
テクニカルにも、ハンセン指数の21,000ポイント、CSI300指数の4,000ポイント超えは意味がある。中国株式市場にとっては、大きな転機になる可能性があることに注目したい。