香港・中国市場Dairy ~米株の上昇に押し上げられ、香港中国株は反発。しかし、中国本土での感染者が最多を更新したことで、上値は重い展開。
ハンセン指数 17,660.90 pt (+0.78%)
中国本土株指数 5,992.35 pt (+0.79%)
レッドチップ指数 3,484.29 pt (+1.51%)
売買代金861億3百万HK$(前日963億1万HK$)
米利上げの減速期待高まる
米連邦準備理事会(FRB)が23日に公表した11月のFOMCの議事要旨では、大多数の会合参加者が利上げペースの減速が「近く」適切になるとの判断を示した。一方で、インフレ率の高止まりを背景に、今回の政策金利の利上げの最終到達水準(いわゆるターミナルレート)は、これまでの想定よりも幾分高くなるとの見方も示された。10月CPIでは、インフレ率の上方幅がわずかに縮小したが、絶対水準は以前高い。インフレの沈静化の始まりと評価することは早計であると引き続き考えている。
FRBは歴史的なインフレ抑制のため、0.75%幅の利上げを4会合連続で実施してきた。政策金利は計3.75%引き上げられた。インフレの抑制には政策金利を一定水準に引き上げる必要があり、今年3月以降、FRBは8カ月の短期間で急ピッチの利上げを実施してきた。そろそろ、その効果を見極める必要があると考えても不思議ではない。ただこれは、次回以降の利上げに慎重になったというよりも、効果を正しく評価したいとの現実的な見方なのではないか。政策金利の絶対水準を、インフレ抑制に十分な水準まで引き上げるために過去4回のFOMCでは上げ幅にこだわってきたが、12月以降は雇用市場やインフレ率の動向をより参照しながら金利の引き上げ幅を検討するということだろう。
中国市場は引き続き感染が重しに
中国本土の新型コロナウイルス感染は拡大に歯止めがかからない。23日の新規感染者(無症状含む)は31,444人と今年4月の最多数を上回り、過去最多を更新した。中国当局は厳格な行動制限などの防疫措置でコロナを封じ込める「ゼロコロナ」政策から的を絞った「ダイナミック・ゼロコロナ」政策にシフトしたばかりだが、ここにきて感染者が急増しており、当局は感染抑制対策を巡り難しい判断を迫られている。
今月11日に中国政府が一部緩和を発表した後、大都市全域にわたるような大規模な行動規制は実施されていない。しかし、感染の拡大は、中国の経済と医療システムの両方に悪影響を及ぼしており、回復には時間を要するものとみられる。一部都市では、不要不急の移動を控えるよう呼びかけている。中国ウオッチャーたちの中には、経済活動の再開は緩慢にならざるを得ず、社会的なコストも大きく、回復の道のりは厳しいとして、中国の2022、2023両年の国内成長率の見通しを下方修正するところも出てきた。
24日の香港市場は、朝方こそ、米株高に追随して上げ足を早め、一時1%超を上回る場面もみられたが、次第に強弱の材料が交錯し、上値は重くなった。ハンセン指数は、結局高値からはもみ合い、押し戻されて前日比0.78%高で取引を終えた。
不動産株で構成されるハンセン不動産指数は前日比6.82%高と相場を牽引した。不動産開発大手の碧桂園(2007)は20.4%高。同社は最大500億元の与信枠について中国版ゆうちょ銀行の中国郵政儲蓄銀行(1658)と契約を結び、土地開発や合併・買収の融資を進めると報じられた。中国当局は融資拡大と景気支援を目指し、預金準備率引き下げを含む複数の金融緩和策を検討しているなど更なる支援が高まっている。
一方、航空会社やレストランなどリオープン銘柄は連日の売りとなった。オンライン予約のトリップドットコム(9961)は2.2%安、中国国際航空(0753)は2.1%安、中国南方航空(1055)は1.9%安だった。映画会社などレジャー銘柄も軟調な動きとなった。
中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.25%安の3,089.31、CSI300は0.44%安の3,756.81で引けた。本土市場は、新型コロナウイルスの感染状況を厳しく見ているようで懸念材料が燻る。