香港・中国市場Dairy ~ 中国本土の経済再開の見方が分かれ不透明な環境続く、米FRBは4回連続で0.75%の大幅利上げ
ハンセン指数 15,339.49 pt (▲3.08%)
中国本土株指数 5,170.51 pt (▲3.45%)
レッドチップ指数 2,960.95 pt (▲1.44%)
売買代金986億5百万HK$(前日1,060億2万HK$)
米FRBは4回連続で0.75%の大幅利上げ
2日、米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利の誘導目標を4会合連続で0.75%の引き上げ決定した。声明文では景気悪化に配慮する姿勢をにじませ、今後利上げペースを落とす可能性が示された一方、歴史的な高水準であるインフレ対応を優先し、継続的な利上げが適切であることを示した。また短期金利が最も高くなる金利 (ターミナルレート)については前回9月に言及した以上になる可能性も示唆した。
焦点だった12月の利上げについては明確な言及はなく、あくまで今後の経済指標や金融情勢を判断してからの結果に留められた。市場は今回の声明を受け、大幅な利上げ観測は後退したもの、利上げの停止については「非常に時期尚早だ」と述べられたことを受け、継続的な利上げ観測が強まった。政策金利に敏感な米2年債利回りは一時5.13%を付けるなど市場の警戒は一層高まった。
いずれにせよ、利上げに関しては経済活動や物価に影響が及ぶまで時間差があるとみられ、数字に反映されるまでには時間を要するとみられる。既に米国の政策金利のレンジは3.75-4.0%に設定され、2008年以来の高値にある。米国経済の減速は既に兆候がみられ始め、住宅ローン金利の大幅な上昇で住宅市場は大きく落ち込み、経済の大部分を占める個人消費も一時の勢いを失っている。景気を犠牲にしてでもインフレ抑制を優先してきたFRBが、景気後退の中で物価高が続くという最悪の事態を避ける上でも,足元の経済状況をしっかり判断してからの対応が続く。
ハンセン指数は3日ぶりに反落
3日の香港市場は米金融引き締めの長期化が懸念され、ハンセン指数は3日ぶりに反落、前日比3.08%安と終日下げる展開となった。ここ数日、中国市場を支えたゼロコロナ政策からの出口戦略についても懐疑的な見方が広がったことがネガティブに働いた。
中国国家衛生健康委員会(NHC)は2日、コロナ感染を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ政策」を堅持すべきとの見解を示した。同委員会がコメントを発表するのは共産党大会以降で初めてであり、中国当局に遵守の姿勢を示した格好とも伺えるが、不透明な環境だけが残ってしまった。足元、中国の新規感染者数(無症状者含む)は顕著に増加しており、2日は計3,200人と今年8月17日以来2カ月半ぶりに3,000人を超えた。中国本土の経済再開の見方が分かれる状態が相場の重石となる。
香港市場は経済再開の期待が剥落したことで、レストランやカジノなどインバウンド銘柄が売られ、大手カジノの金沙中国(1928)は5.4%安。高永利澳門(1128)は5.1%安、銀河娯楽(0027)は2.5%安。レストランチェーンの呷哺呷哺(0520)は8.4%安、海倫司国際(9869)は5.1%安、九毛九国際(9922)は4.7%安だった。
医薬品銘柄も下落。「吸入型新型コロナウイルスワクチン」を開発した康希諾生物(6185)は2日引け後、業績の大幅増益をもたらすものではないとの見解を明らかにした。ここ2日で81.6%高とだった同社株は急落し、前日比34.8%安。製造・販売の石薬集団(1093)は9.7%安、中国生物製薬(1177)は7.7%安、中国神威薬業(2877)は4.2%安と下落が目立った。
中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.19%安の2,997.81と3日ぶりに反落、CSI300は同0.81%安の3,647.90で引けた。オフショア人民元が対ドルベースで再び人民元安に振れたほか、中国の経済再開の期待が錯綜し、経済への不安が引き続き重石となった。
中国財新サービス業PMIは5月以来の低水準
3日発表された10月の中国財新サービス業PMIは48.4と前月の49.3から低下し、景況改善・悪化の分岐点となる50を下回り、5月以来の低水準となった。10月は国慶節の連休があったにもかかわらず悪化した。
先ほど発表された中小企業や沿岸地域の企業を対象とする財新製造業PMI、中国国家統計局から発表された大企業を対象とする製造業、非製造業PMIが揃い、すべて50を下回ったのは最大の経済都市である上海市でロックダウンが実施された今年5月以来の景気悪化を示す結果となった。中国は重大な局面を迎える展開が続く。