香港・中国市場Dairy ~ 香港ハンセン指数は急落、13年半ぶり安値を更新、習氏の「一強」体制を嫌気
ハンセン指数 15,180.69 pt (▲6.36%)
中国本土株指数 5,114.48 pt (▲7.30%)
レッドチップ指数 3,128.69 pt (▲5.40%)
売買代金1,617億5百万HK$(前日939億7万HK$)
23日、北京で開かれていた中国共産党大会が閉幕し、第20期中央委員会第1回総会で習近平総書記の3期目の体制がスタートした。最高指導部を構成する7人の党政治局常務委員は習氏の側近で固められ、習氏の「一強」体制が明確になった。
今回の決定事項は事前に報道されていた内容通りの結果だったが、市場の反応はネガティブだった。24日の香港市場はハンセン指が急落、下落率では今年最大を記録し2009年4月以来、約13年半ぶりの安値となった。
中国本土銘柄から成るハンセン中国企業株(H株)も前日比7.3%安と大幅反落した。海外投資家の失望売りが悲壮感を高めた。中国本土と香港の株式市場で外国勢の中国本土株売越額は24日、約179億元と過去最大だった。
取引時間中には先週、急遽取り止めとなっていた経済指標が寄り付き直後に一斉に発表されたが、内容を見極める反応は見られなかった。習氏側近に経済通と目される人物がいないとの評価もあり、中国経済の先行きが懸念されたほか、党大会で新型コロナウイルス感染防疫措置の緩和や、具体的な経済対策が出てこなかったことがマイナスに働いた。そのほか中国新指導部が、中国ネット企業などの規制を、これまで以上に強化されるとの不安も色濃く市場に反映された。
ITネット株で構成されるハンセンテック指数は前日比9.65%安と今年最大の下落を記録し、統計開始以来の安値を連日更新した。構成30銘柄は全面安となり、高性能データセンター開発の万国数拠(9698)は17.5%安、オンライン医療の京東健康(6618)、阿里健康 (0241) はそろっては14.8%安だった。
主要銘柄も大幅安となり、フードデリバリーの美団(3690)は14.8%安、Eコマースの京東集団(9618)は13.1%安、インターネット検索の百度(9888)は12.2%安、アリババ(9988)は11.4%安、インターネットサービスのテンセント(0700)は11.1%安、保険大手の中国平安保険(2318)は11.0%安だった。
中国本土株市場は、上海総合指数は前日比2.02%安の2,977.56、CSI300は同2.93%安の3,633.37で引けた。中国人元安も重石となり、オフショア人民元は一時1ドル=7.27元と先週に付けた安値に接近したほか、オンショア人民元は7.2552元と2008年1月以来の安値となった。
中国国家統計局は24日、予定より遅れていた7-9月の国内総生産(GDP)を発表し、前年同期比3.9%と市場予想(3.3%)を上回った。前回4-6月の0.4%から改善はみられたもの、政府が掲げている実質成長率の目標は達成困難とみられる。
特に不動産業の成長率が著しく悪化し、7-9月期は前年比で8.0%減と前回の7.0%から更に下振れた。新築住宅価格は16カ月連続で、前年比ベースで下落基調が続き、政府が支援を強化するも不動産の回復基調はみられない。1-9月の不動産投資は前年比8.0%減と、1-8月の7.4%減から悪化した。
そのほか同時に発表された9月の小売売上高は2.5%増加、8月の5.4%から伸びが鈍化し、市場予想の3.3%増も下回った。内需が依然低迷していることが浮き彫りとなったほか、厳しいコロナ規制の影響を色濃くあらわす形となった。一方で、新体制が何らかの施策を打ち出す可能性はあり、注意は引き続き必要だろう。