香港・中国市場Dairy ~ 経済的な苦境を映し円と人民元の売りが加速。香港ハンセン指数は2009年以来の安値を更新
ハンセン指数 16,211.12 pt (▲0.42%)
中国本土株指数 5,517.44 pt (+0.09%)
レッドチップ指数 3,307.12 pt (+0.93%)
売買代金939億7百万HK$(前日1,267億8万HK$)
金融市場では、米FRBが一段と積極的な金利引き上げを実施するのではないかとの疑心暗鬼が広がっている。繰り返し書いているが、2023年にも短期金利が最高で5%に達するとの見方が強まっている。21日には、10年米国債利回りが4.28%と前日から10bpsも上昇し、14年ぶりの高水準を更新した。実質利回りを反映する10年物インフレ連動債の利回りでも1.76%と2009年以降で最も高い水準に達した。金利水準が独り歩きしてキリ上がる状態にある。
米金利高の影響は、為替市場で一段の米ドル選好度を強めており、連日日本円と中国人民元には売り圧力となっている。ただ、円と人民元はアジアの代表通貨ではあるが、経済のファンダメンタルズを反映したものであり、他のアジア通貨の下落率が相対的に低位なままであることは救いで、筆者はこれをアジア通貨危機と呼ぶことには無理があると考えている。インドネシア中銀は、20日に政策金利を0.50%引き上げた。2会合連続での0.50%幅の利上げ実施は異例のことだが、インフレ圧力が収束に向かっていないことに対応したものである。インドネシアルピアは年初来で8%程度しか下げておらず、ドル円や人民元の下落幅に比べればかなり小さいことは客観視すべきであろう。現在は、円と人民元の独歩安というのが正しい記述ではないか。
そのドル円は、心理的節目と意識されてきた150円ちょうどを上抜け、1ドル=151円に近づいた。日米金利差を背景にしたドル買いは根強いものがあり、円安を阻止する介入も効果には皆懐疑的で、日本の経済成長路線を描けないまま、円安は加速する恐れすらある。中国人民元も同様に、中国経済の地盤沈下を懸念する市場参加者から売り浴びせられており、オンショア人民元は1ドル=7.2525ドルを付け2008年以来の元安水準を付けた。中国人民銀行は21日、人民元の対ドル中心レートを37営業日連続で市場実勢より元高水準に設定して抵抗を試みている。ただこれも効果なく、中国共産党大会の閉幕後には人民元の元安方向への水準訂正を容認するという噂も出ていたようである。
21日の香港市場は大幅下落の後で売りも枯れたのか、前日終値を挟んで一進一退の動きとなり、方向感に乏しい展開だった。取引時間には一時プラス圏まで振れる場面もみられたが、結局、大引けで再び下落に転じハンセン指数は3日続落。前日比0.42%安で引けた。終値ベースでは2011年に付けた安値を更新し、2009年4月30日以来、13年6ヶ月ぶりの安値を更新した。
スポーツ関連株が弱く、ニット衣料販売の申洲国際集団HD(2313)は9.5%安、スポーツ用品の李寧(2331)は3.2%安と下げが目立った。テクノロジー株も連日の下落が目立ち、動画投稿アプリの快手(1024)は8.1%安、オンラインゲームの網易(9999)は4.0%安、インターネット検索の百度(9888)は1.9%安となった。
一方、本土不動産か上昇。中国不動産開発大手の碧桂園(2007)6.7%高、不動産開発の龍湖集團(0960)は3.4%高、碧桂園服務(6098)は3.1%高、不動産開発の中国海外発展(0688)は2.3%高となった。
本土株市場では、上海総合指数が前日比0.13%高の3,038.93と4日ぶりに反発、CSI300は同0.32%安の3,742.89 で引けた。中国共産党大会の閉幕をあす22日に控える中、景気刺激策が強められるとの期待も一部にはあるが、本日特段の発表はなかった。中国共産党指導部の新しい顔ぶれが週末には判明する。これが市場のターニングポイントとなるか、注意は払っておかれたい。