ハンセン指数18,761.69 pt (▲0.89%)
中国本土株指数6,420.66 pt (▲1.36%)
レッドチップ指数3,639.91 pt (▲1.28%)
売買代金1,239億4百万HK$(前日818億5万HK$)
米金融引締めへの警戒感がくすぶり、16日のアジア株式市場は幅広い銘柄に売りが波及した。前日、米国の代表的な指数であるS&P500は2ヶ月ぶりの安値を付け、米債券市場では政策金利の動向に敏感な2年米国債利回りは3.9%台と2007年以来の高値を記録した。
世界銀行は各国地域による積極的な金融政策引き締めの波を受け、早くて来年リセッションに直面する可能性があると言及し、そうした金融引き締めでもインフレ抑制には不十分となる恐れがあるとの警戒心を示した。
米国をはじめ、世界的にインフレ率は急速に落ち着く状況ではないことは、長期化する金融引き締めを意味する。株式市場はこうしたインフレ率の高止まりと金融引締めの政策を織り込み、投資家心理の先行き不安が広がった格好となった。
16日の香港市場はハンセン指数は前日比0.89%安と反落、再び終値ベースで3月15日以来、半年ぶりの安値を付けた。
中国のコロナ感染拡大が落ち着き、一部地域では行動制限が解除されるなどの措置が取られる一方、世界経済の先行き不安が投資家心理をくすぶる。取引時間中に発表された8月の中国主要経済指標は足元、改善傾向がみられるも、引き続き不動産市場の悪化がネガティブに働いた。
前述の統計結果を受けて昨日、堅調だった不動産株が売られ、不動産株で構成されるハンセン本土不動産指数は前日比2.77%安と大きく下げた。
またハイテク株で構成されるハンセンテック指数は前日比2.65%安と市場を大きくアンダーパフォーム。構成銘柄はほぼ全面安となり、終値ベースで今年4月以来の安値を記録した。動画投稿アプリの快手(1024)は7.4%安、インターネット保険の衆安在線財産保険(6060)は6.2%安、高性能データセンター開発の万国数拠(9698)は5.6%安と下げが目立った。
中国本土株指数は上海総合指数が前日比2.30%安の3,199.92、CSI300指数は同2.35%安と3日続落し冴えない動きとなった。
人民元安も引き続き加速した。前日、対ドルベースで1ドル=7元台を突破と、2020年7月以来の安値を記録した。中国人民銀行は16日、人民元の中心レートを1ドル=6.9305元に設定し、予想より元高水準に設定するのは17営業日連続と当局は通貨防衛姿勢を強めている。人民元は今年に入り、対ドルで約10%近く下落した。
中国国家外為管理局は16日、「過去1年の人民元のパフォーマンスは他の大半の通貨よりはるかに良好」と述べるなど、当局の冷静な姿勢が目立つ。ただ足元の急ピッチな人民元安は積極的な金融緩和について二の足を踏む可能性があると考えられ、経済打撃を受ける中国経済にとっては非常に厳しい局面を迎えている。
中国国家統計局が16日発表した8月の鉱工業生産指数は前年同月比4.2%増と市場予想、前月から共に拡大した。またコロナの影響で落ちこんでいた個人消費も伸び、8月の小売売上高は前年同月比5.4%増と前月から回復した。
中国当局の景気刺激策が後押ししたほか、新型コロナウイルス禍で悪化した景気の立て直しを図るため、自動車の取得税率引き下げなどの効果が表れた形となった。自動車販売などは前月から15.9%と顕著に増加した。
一方、8月の不動産部門は投資・販売が減少し、住宅価格が下落するなど落ち込みが深まった。8月の新築住宅価格は前年比1.3%下落し、4カ月連続のマイナス下落、1-8月の不動産投資は前年比7.4%減と前月から拡大した。当局は住宅危機を回避のため、相次いで緩和策を導入しているにも拘わらず、住宅ローンの返済拒否やロックダウン、景気の減速により信頼低下が続く。