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要注意材料が顕在化~リスクオフにいったん傾斜も
11月26日を「ブラックフライデー」と呼ぶようになったのは、いつからだろうか?それほど古い話ではないだろう。既にアラシックスに足を踏み入れた筆者にとっては、ブラックフライデーというと、ブラックマンデーを連想させて苦い思いがする。
そのブラックフライデーの日に、リスク要因が顕在化した。一つは、新型コロナウイルスの新変異種で危険性が高い オミクロン変異株がWHOによって危険種指定された。警戒していたこととはいえ、復旧へのカギとして信頼感が高まっていたワクチンの効果も疑われる可能性が伝えられる事態に、世界は再び経済的なダメージへの警戒を強めざるを得ない。もう一つは、米国議員団の台湾訪問に対抗して、中国人民軍が台湾海峡で警戒レベルを上げたことが確認された。先々週には、米中首脳会談が行われ、緊張関係の緩和が期待されていただけに、市場の落胆は大きいだろう。
いずれにしても、リスクオフ~リスクを取ることに対してはネガティブにならざるを得ないとして、短期的なリアクションはリスクを回避する行動に出るだろう。ただ、株式相場はネガティブに反応するが、
成長率の低下を見込むと、上がり歩調を速めていた米ドル金利が低下する公算が高い。特に米FRBの利上げが先送りされるとの思惑から、米ドル金利は短期ほど低下するのではないか。そうなると、株式相場は金余り相場で価格は維持されるため、ダウンサイドはそれほど大幅ではないとも考えられる。政策依存が続くため、足元の金利低下と溢れる流動性は株価を支える効果に繋がるだろう。為替相場では、金利の低下を材料に米ドル売り、また安全通貨とされる日本円やスイスフランが買われるという流れが想定される。ただ、インフレ率の見通しはさほど変わらず、再度、金利の上昇圧力は回復するのではないかと筆者は考えている。
当面は、一定の不透明感が先行するため、ボラティリティを覚悟しながら、投資行動に臨んでいただきたい。