1ドル=144円台に
9月7日、為替相場では、日本円が顕著に急落し、ドル円では1ドル=144円台にのせた。日米金利差、経済成長力格差、有事のドル買い、日本の貿易収支悪化など、理由は挙げればきりがない。市場参加者は、ドル買い円売りを一定の確信をもって行っており、本日のような流れが出てしまうと、抗いようもない。円安の流れは止められない。非常に危険な状況が続くのではないか。147円66銭は年末くらいかと思ってきたが、案外早く実現してしまうのかもしれない。
以下は9月4日メルマガで書いた一節である。
(引用)
9月1日、外国為替市場ではニューヨーク時間の取引で、ドル円為替レートが対米ドルで1ドル=140円台にのせた。24年ぶりの円安・ドル高水準である。
このところの堅調な米国経済指標を受けて、米FRBによる大幅利上げ継続の観測は強まる一方で、日銀の金融政策は緩和状態を維持するとの意思表明が続いている。このため、日米金利差を意識した円売り・ドル買いが続き、また、米ドルが世界の主要通貨に対して続伸したこともあって、140円台のせが実現された。
日本政府の動きは、鈴木俊一財務相が、最近の為替相場の変動について「やや大きくなっている印象」と冷淡なコメントを出すことが精いっぱいで、為替市場の動向を「高い緊張感を持って注視」するだけだと、為替介入の可能性は低いと見透かされている。日本政府単独では、円安の流れを阻む要因にはならないと思われる。
先週2日には一時140円40銭と1998年8月以来の安値を更新した。米国雇用統計では、雇用市場のひっ迫状況は変わっていない。一連のデータでも、利上げ幅やスピードを和らげていいという判断にはならないだろう。9月の0.75%幅での利上げの可能性は高く、今週も米FRB首脳のコメントは、引き続き利上げを積極的に行うとのタカ派色が濃いものが予想される。引き続きドル円は140円台で上値を試すのではないか。なお、中長期のテクニカル分析では、1998年8月に記録した147円66銭まで140円から147円までには目立ったポイントが見当たらないことも事実である。真空地帯をあっという間に円が下落してしまうリスクも無きにしも非ずではないだろうか。