香港・中国市場Dairy ~ 新型コロナウイルス規制の強化懸念が再燃。中国・香港市場は、モメンタム悪化
ハンセン指数 19,949.03 pt (▲0.37%)
中国本土株指数 6,840.17 pt (▲0.47%)
レッドチップ指数 3,712.17 pt (▲0.25%)
売買代金961億4百万HK$(前日917億9万HK$)
FRBのパウエル議長が前週末の講演で政策金利の積極的な引き上げ姿勢を示したことから連日、債券には売り圧力が顕在化し、利回りは上昇した。政策金利の動向に敏感な2年米国債利回りは一時3.48%台まで上昇しており、2007年11月以来、約14年9カ月ぶりの高水準をつけた。米長期金利の指標となる10年米国債利回りも3.13%と約2ヶ月ぶりの水準まで上昇した。
今週2日に発表を控える8月の米国雇用統計を前に、マーケットは9月の米FOMCで75bpsの大幅な利上げを織り込む動きを見せている。CME Fed Watchによると次回の75bpsの利上げ幅の確率は70%台を超えてきている。9月FOMCでは50bpsの利上げにとどまるとみていた市場にとっては、今回の引き上げ幅拡大は、大方の想定外である。そして、FRBが成長鈍化という痛みを伴ったとしてもインフレ抑制を優先するという見解は、これまでFRBのハト派的なスタンスを期待していたマーケットにとっては、落胆させる材料となっている。
中国本土では、再び複数の大都市で新型コロナウイルスの感染拡大が確認され、規制が強化されると伝わった。中国の感染者は8月に入って高止まりしており、千人超の推移が続く(下図参照)。深圳市では、公共施設が9月2日まで感染防止のため封鎖されたほか、中心地区の24駅の地下鉄が運行停止された。また大豆や鉄鉱石輸入の主要港である大連では、約300万人の住む都市の大部分が封鎖された。感染者(無症状者含む)が数人単位であっても、都市封鎖を実施する動きが、ここ数日、一部都市で散見されている。今後こうした動きが主要都市にも広がれば再び中国経済にとっては打撃となる可能性がある。このところの感染状況は、中国・香港の株式市場のモメンタムをくじくには十分である。
30日の香港市場はハンセン指数が続落、前日比0.37%安で引けた。朝方、心理的節目となる20,000ptを割ると、一気に下げ幅を拡大し一時1.9%安まで下げる場面もみられた。前述した新型コロナウイルスの感染拡大の規制を受け、景気減速への警戒が強まったほか、明日の8月中国製造業、非製造業PMIの発表を前に午後は手がかり材料が乏しく様子見の展開となった。
ハイテクセクターが下落、ハンセンテック指数は0.51%安と続落した。動画投稿アプリの快手(1024)は4.1%安、高性能データセンター開発の万国数拠(9698)は3.7%安、クラウドサービスの金蝶国際軟件(0268)は3.7%安、動画配信のビリビリ(9626)は2.3%安だった。
6月中間決算の発表を手がかりに、自動車ディーラー大手の中升集団(0881)は7.0%安、中国不動産開発大手の碧桂園(2007)は4.2%安となった。
一方、主要銘柄が午後に入りプラス圏まで戻し、Eコマースの京東集団(9618)、国際銀行のHSBC(0005)はそろって0.8%高、インターネットサービスのテンセント(0700)は0.1%高、アリババ(9988)は0.05%高で引けた。
中国本土市場は上海総合指数が前日比0.42%安の3,227.22、CSI300指数は同0.34%安の4,075.79で引けた。足元のゼロコロナ政策の懸念が再燃したほか、人民元は対ドルで約2年ぶりの安値である6.9元台に下落するなど相場の重荷となった。
中国人民銀行は30日、人民元の中心レートを1ドル=6.8802元に設定した。市場予想に比べて明らかに元高水準への設定であり、人民元の下支えを意図していると市場では見られている。このところ、米ドル金利上昇でドル高が進んでいることもあり、過去数週間でドル人民元の下げが目立つ。心理的な節目である1ドル=7.00元も視野に入る流れだが、人民銀は急ピッチでの元安進行を嫌っており、6.90人民元はいったん歯止めとなるのではないか。