香港・中国市場Dairy ~ 米中首脳会談を控え指数は一進一退の動き、香港市場は小幅に続落
ハンセン指数 20,622.68 pt (▲0.23%)
中国本土株指数 7,082.58 pt (▲0.13%)
レッドチップ指数3,750.23 pt (+0.46%)
売買代金901億9百万HK$(前日872億4万HK$)
27日、7月の米FOMCが終了し、利上げ幅は市場の予想通り75bpsと二カ月連続の大幅引き上げとなった。会合後、FRBのパウエル議長は今後の利上げペースを緩める可能性を示唆し、金融引き締めに伴う米景気後退を改めて否定した。市場は米主要3指数が大幅高、長期金利は低下とハト派寄りな意見が好感された。
一方、アジア市場の反応は限定的だった。今回の利上げ幅にサプライズがなかったことや、早ければ28日の米時間に3月以来の米中首脳会談が開催される予定と様子見ムードが漂った。香港ハンセン指数は午後に入って前日終値で一進一退の動きとなり、小幅に2日続落となった。
主力銘柄がさえず下落。Eコマース大手のアリババ(9988)1.8%安、京東集団(9618)は1.5%安だった。また金融株も軟調。28日、香港金融金利局(HKMA)はFRBの利上げに追随し政策金利である金利を75bps引き上げ2.75%とし、2019年来の高値水準となった。利上げ加速による利ざや期待で買われていた銘柄が売られ、商業銀行の招商銀行(3968)は2.0%安、保険大手のAIA(1299)、ハンセン銀行(0011)はともに0.8%安となった。
一方、不動産株は昨日の大幅安から反発。28日、中国金融当局は未完成の住宅建設再開に向けて1兆元の融資を動員すると述べた。この報道を受けて投資家心理がやや一服し、不動産管理サービスの碧桂園服務(6098)は6.4%高、不動産開発の時代中国(1233)は2.4%高、不動産販売の恒隆地産(0101)は1.8%高と上昇した。ただ不動産危機の警戒感は根強く、龍湖集團(0960)は1.2%安、中国政府系デベロッパーの華潤置地(1109)はプラス圏に推移する場面もみられたが、午後に下落した。
中国本土市場では、上海総合指数が前日比0.21%高の3,282.58、CSI300指数は0.01%高の4,225.67と小幅の反発となり、上値は重い展開となった。
中国、不動産デベロッパーに融資を発表
中国金融当局は、多額の債務を抱える不動産開発業者を支援するため、中断された建設プロジェクト向けに1兆元の融資を計画していると英紙「フィナンシャル・タイムズ」が伝えた。
中国人民銀行はまず商業銀行に対し、年1.75%程度の低金利で2,000億元の融資を行う。中国国務院では既に承認されており、人民銀の融資を利用して中断されたプロジェクトの支援・再開を促す。各銀行の資金は人民銀行の融資を利用し最大5倍のレバレッジをかけることで貸出総額は1兆元に達すると見込まれ、未完成のプロジェクトを完了するための必要な資金ギャップを埋めることができるようにと述べた。
今週に入って中国当局は購入者による住宅ローンの支払い拒否から不動産業界の信頼低下を懸念し、相次いで資金流動性の確保に向けた対策を打ち出している。ロイターは今週、中国が最大3,000億元規模の不動産基金を設立し、経営難に陥っている不動産開発業者を支援する計画だと報じていた。
ただ中国の不動産開発業者が直面している資金繰りの問題は非常に困難な状況にある。昨日、大幅安となった中国不動産開発大手の碧桂園は、売約済みの住宅引き渡しコストの上昇や契約販売の鈍化、本土・オフショアでの債券発行の難しさなどマイナス要因がキャッシュフローを損ねる中、大幅なディスカウントでの新株発行を発表した。
不動産業界最大手の一角だった中国恒大は、債務再編計画を7月末までに暫定提出する予定で、約3,000億ドルもの負債を抱える同社がどのような計画を打ち出すか注目を集めている。28日、同社は香港の本社ビル「中国恒大中心」の売却に向け、不動産デベロッパーの長江実業集団(1113)から応札があったと発表した。今回の売却額は予想よりかなり低く11.5億ドルになる見込みであり、入札は本日が締め切りとなる。今後の資産売却にむけた動きが続くものとみられ、不動産市況の動向が引き続き注目となる。