香港・中国市場は反落。大手不動産開発業の碧桂園が増資を発表し、本土不動産株が急落。

香港・中国市場Dairy ~ 香港・中国市場は反落。大手不動産開発業の碧桂園が増資を発表し、本土不動産株が急落。

ハンセン指数 20,670.04 pt (▲1.13%)
中国本土株指数 7,091.47 pt (▲1.30%)
レッドチップ指数3,733.00 pt (▲0.46%)

売買代金872億4百万HK$(前日965億4万HK$)

ハンセン指数

26日の米国株式市場は、米FOMC前の様子見気分の中、国際通貨基金(IMF)が世界経済見通しを更新し、成長率予測を引き下げたことで売りが先行した。今年の世界経済の成長率見通しは年3.2%と前回4月の時点から0.4ポイント下方修正、特に世界経済を牽引している米国と中国の減速を予想するとの悲観的な内容が目立った。米国の2022年の成長率見通しは2.3%(4月3.7%)、23年は1.0%(4月2.3%)、中国は22年が2.6%(4月2.8%)、23年は1.2%(4月2.3%)とそれぞれ下方修正された。世界的な物価高や欧米の急速な金融引き締め、中国ではロックダウンが影響して、先行きは厳しい見方となった。

27日の香港株式市場は、ハンセン指数が前日比1.13%安と反落、香港市場の売買代金は4日連続で1,000香港ドル割れの薄商いだった。連日の大幅高となった本土不動産株が急落し、不動産株で構成されるハンセン本土不動産指数は6.22%安と指数を押し下げた。

朝方に第三者割当増資の計画を発表した中国不動産開発大手の碧桂園(2007)が急落、前日比15.0%下落した。同社は8.7億株(発行済み株数3.76%相当)の新株を通して約28.3香港ドルの資金調達を実施する。発行価格は1株あたり3.25香港ドルであり、前日の終値から12.6%下回って発行することが嫌気された。同系の不動産管理サービスの碧桂園服務(6098)も前日比21.9%の大幅下落となった。同社の資金調達の一部はオフショア債務の返済に充当する見込みだが、今回の増資による株式の希薄化に加えて、不動産業界の信頼低下により大幅なディスカウント価格帯で新株を発行せざるを得ないという事実に、中国の不動産開発業者が直面している資金繰りの問題が改めて浮き彫りになった。不動産開発の旭輝集団(0884)は11.9%安、不動産管理サービスの新城悅服務(1755)は11.2%安、雅生活服務(3319)は8.4%安と下げが目立った。

6月に政府の消費推奨政策を受けて大幅に上昇した中国自動車関連も再びに下げに転じた。中国自動車の理想汽車(2015)は4.0%安、吉利汽車(0175)は3.7%安、NIO(9866)は3.0%安、小鵬汽車(9868)1.9%安が下げた。

中国本土市場では、上海総合指数は前日比0.05%安の3,275.76、CSI300指数は同0.49%安の4,225.04と小幅な反落にとどまった。朝方、バイデン米大統領と中国の習近平国家主席の電話協議が早ければ今週木曜に行われると伝わって、進展期待から楽観的なムードも漂った。ただ本土不動産株の急落に加え、新型コロナウイルスの感染数が高止まりする中、中国武漢市では一部地域で行動制限を実施すると伝わるなど、厳しい状況は続いている。

26日、武漢市の江夏区で計4名の新たな感染者が確認されたことを受け、本日からすべての移動が制限され約105万人の住民に影響が及ぶ。中国本土の新規陽性者数(無症状者含む)は9日連続で600人を上回っており、行動抑制が強化されるか不安視されている。

中国翌日物レポが1%割れ

中国の短期金融市場で銀行間の翌日物レポ金利(Overnight Rate)が21年1月以来、初めて1%を割り込んだ。今月に入り94bps近く低下しており、相次ぐ金融緩和の影響で潤沢な資金供給の半面、実体経済の借入需要が低調なことを示唆する皮肉な結果となった。

新型コロナウイルスを徹底的に抑え込むゼロコロナ政策の実施や、住宅危機の拡大から住宅ローンの信用が低下し資金需要は低調が続き、人民銀行の調査によると市場全体の第二四半期の借り入れ需要は2016年来の水準まで低下し、非金融機関による債券発行量はパンデミック発生の2020年初来まで落ち込んだ。

人民銀行は、資金供給を拡大する姿勢を示し、金融システムの流動性を潤沢に保つ姿勢を維持している。金利の大幅な低下により、消費や不動産市況の下支え効果を狙っており、引き続き、政策効果への期待は残るだろう。

Bloombergから抜粋

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