先週は、米国債券相場で、FRBの利上げを織り込む動きがいったん停滞し、むしろ反動から、金利は低下気味となった。株式市場では、S&P500銘柄に採用されている企業のうち280社ほどが第3四半期の企業業績を発表したが、8割がたの企業で、事前予想を上回ったことで、株価にはプラスの材料となった。第3四半期の増益率は39%に達するとの試算も出ていた。好調な企業業績の発表と米国経済の腰の強さを材料に、リスクオンムードが株式市場を支配した。株価は、断続的な買いが継続して高値を更新し、S&P500指数とナスダック総合指数は、先週金曜日に最高値を更新して週の取引を終えている。
先週の経済指標では、米国商務省が29日に発表した個人消費支出PCE(9月)価格指数は前年同期比4.4%上昇と、約30年ぶりの高水準だった。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE指数では前月比0.2%上昇、前年同月比では3.6%上昇で、非常に高い伸びを示していることが懸念される。FOMCでは、テーパリングの開始は、ほぼ間違いないだろう。
欧州連合(EU)統計局が発表した29日に発表したユーロ圏消費者物価指数HICP(10月速報値)は前年比4.1%上昇で、こちらも13年ぶりの高い伸びを示した。欧州のインフレ率は米国ほどには上昇しているわけではないが、ECBがどこまで我慢するのかは注目されるところである。
今週は、4日に米連邦公開市場委員会(FOMC)とイングランド銀行(BOE)、2日にはオーストラリア準備銀行(RBA)の3主要中銀が金融政策決定会合を開催する。特にFOMCには注目しておきたい。また、5日には米国雇用統計の発表もある。金利上昇要因は、まだ続くと考えておいてよさそうである。