中国GDP・7~9月期は前年比4.5%増
輸出と製造業が下支え、内需にはなお弱さ
中国国家統計局が10月19日に発表した2026年7~9月期の実質国内総生産(GDP)は、前年同期比4.5%増となった。伸び率は4~6月期の4.3%から加速し、市場予想の4.4%も上回った。前期比では1.2%増だった。1~9月の成長率は前年同期比4.6%と、政府が掲げる通年目標の4.5~5.0%の範囲内に収まった。
成長を支えたのは、引き続き輸出の拡大と製造業の底堅さだ。1~9月の貨物輸出は前年同期比16.4%増え、規模以上工業の付加価値も5.3%増加した。とりわけ装備製造業は10.2%増、高技術製造業は14.3%増と全体を上回り、産業の高度化が景気の下支え役となった。
9月の工業生産は前年同月比5.5%増と、8月の5.2%増から加速した。人工知能(AI)関連需要や電池、産業用ロボットなど新興分野の生産拡大が、外需の追い風と重なった。GDPが市場予想を上回ったことで、当局が直ちに大規模な追加刺激策へ踏み切る必要性は薄れたとの受けと寝られ方が多い。
政策スタンス、大幅な転換は見込めず
中国人民銀行(中央銀行)は2026年5月の利下げ後、主要政策金利を据え置いている。1~9月の成長率が目標圏にあることから、金融政策は当面、現状維持を基本とし、景気下支えの軸の足は財政政策や重点分野への融資支援に置かれそうだ。
もっとも、景気回復の裾野はなお狭い。1~9月の社会消費品小売総額は前年同期比1.1%増にとどまり、固定資産投資は7.2%減少した。不動産開発投資も20.6%減と低迷が続く。内需の弱さと不動産不況は、輸出・生産主導の成長では、家計や民間消費に十分に波及していないことを示している。
物価面では、1~9月の消費者物価指数(CPI)が前年同期比0.9%上昇した一方、需要の力強さにはなお乏しさが残る。輸出が景気の重要な支えであることに変わりはないが、外需だけで不動産や個人消費の弱さを補い続けるのは難しいと考えられる。
焦点は「目標達成」から「成長の質」へ
7~9月期の上振れで、通年目標の達成は視野に入った。ただし、足元の成長は輸出と政策支援の恩恵を受ける製造業に偏っている。第4四半期の焦点は、成長率を目標圏に保てるかということに加えて、雇用や所得の改善を通じて国内消費を押し上げ、民間部門の自律的な回復につなげられるかという点に移る。
政策当局には、比較的好調を維持している先端産業の成長への支援を維持しながら、住宅市場の安定や家計の購買力向上にも重点を移していく難しいかじ取りが求められることになろう。今回のGDPは景気の失速懸念を和らげ、危機的な状況からは一服したことを示したが、中国経済が幅広い需要に支えられた回復局面へ入ったと判断するには、なお慎重さが必要だ。