イランも大規模な報復攻撃
トランプ米大統領はイランの最高指導者ハメネイ師が死亡したとSNSに投稿した。その後、イラン国営テレビも、これを確認した。またトランプ大統領は、イランが今回の攻撃で非常に大きな打撃を受けたとし、これはイラン国民が自国を取り戻す最大の機会だと付け加えた。また、イランに対して、ピンポイントでの爆撃を継続することを表明した。
2月28日、米国とイスラエルはほぼイラン全土に広がる標的を攻撃した。イランとの核協議が続いていたが合意に達せず、軍事衝突は回避されなかった。イスラエル軍によれば、革命防衛隊(IRGC)の指揮統制施設やイランの防空網、ミサイル・無人機の発射拠点、軍用飛行場、イランの防空システムやミサイル発射装置を含む「約500の目標」を標的にし爆撃を行ったとのことである。
トランプ大統領にとっても『賭け』
トランプ大統領は、大規模な戦闘作戦の目的について、イラン政権による差し迫った脅威を排除し、米国民を守ることだと述べた。また、イラン国民に向け「自由の時は間近だ。私たちの作戦が終了したら、政府を掌握せよ。それはあなた方のものになる。恐らくこれは、何世代もの間で唯一の機会だろう」と呼び掛けた。トランプ大統領にとっても、今年後半の中間選挙を前に、大きな賭けに出たといえる。長期化すれば、エネルギー価格の高騰や米軍の犠牲が拡大する可能性もある。
イランの報復攻撃は湾岸諸国にも
攻撃を受けた後、イラン革命防衛隊は、イスラエルのほか中東各地にある米軍基地に向けてミサイルを即座に発射して対抗した。米軍が駐留するサウジアラビアとカタール、UAE、クウェート、バーレーンはいずれも、イランによる攻撃を受けたと発表した。大半の攻撃は迎撃した模様だが、ドバイでは爆発音が報告されるなどした。米中央軍によれば、数百発に及ぶイランのミサイルや無人機による報復攻撃があったが、これらは米軍が迎撃したと声明で発表した。米国側に死者や戦闘関連での負傷者は報告されていない。また、ペルシャ湾岸諸国は相次いで領空を閉鎖した。日本からドバイへの民間機はいったんキャンセルされるとのことである。
イランメディアは、防衛関連や民間の施設が攻撃を受け、南部ホルモズガーン州の学校への攻撃では64人が死亡したと報じた。首都テヘランでも複数の大きな爆発があり、今回の攻撃により201人が死亡し、747人が負傷したと報じられた。
今回のイランによる報復攻撃は、昨年6月に自国の核施設をイスラエルと米国が攻撃した際の報復を、規模でも反応スピードの面でも上回るものである。イランの現政権にとっては、今回の軍事攻撃により、体制が存続するかどうかの危機となるだろう。イランのアラグチ外相はサウジとUAE、カタール、クウェート、バーレーン、イラクの各外相らと電話協議を行ったとイラン外務省は声明で発表した。アラグチ外相はアラブ諸国に対し、米国とイスラエルによる対イラン攻撃に自国の領土や施設を利用させないよう訴えた。湾岸諸国は米国の同盟国ではあるが、戦闘が長期化すれば、中東地域や自国内での混乱、民間航空便の運航停止などで、経済的にも影響を避けられず、海外からの投資にも悪影響を及ぼすことが懸念される。UAE国営の首長国通信(WAM)によると、同国のムハンマド大統領とサウジのムハンマド皇太子は今回のイランへの攻撃とその対応について話し合うため、対立を脇に置いて電話協議を行ったという。