トランプ大統領は関税措置を発表
グリーンランド領有意欲を隠さないトランプ米大統領は、18日、デンマークなどNATO加盟8カ国に対して、10%の関税を課し、6月には25%に引き上げると表明した。関税が実際に発動されるかは不透明だが、こうした措置は、同盟国に対する脅しであり、6カ月前に合意した米・欧州連合(EU)通商協定を踏みにじるものである。欧州の8カ国は直ちに反発した。トランプ政権の威嚇的な姿勢に対応し、NATOは、グリーンランドで形式的な軍事演習を実施すると表明した。スターマー英首相は、関税措置を筋違いだと非難し、スウェーデンのクリステション首相は「脅迫には屈しない」とコメントした。EUは加盟国大使の会合を開き、対応を協議すると明らかにした。マクロン大統領はトランプ氏の関税の脅しは断固として受け入れられず、対抗措置として、EUで最も強力な報復手段とされる「反威圧措置(ACI)」の発動を模索しているとした。
トランプ政権も2年目に入り、関税措置が最高裁でも争われる中、関税については、安定する年になるとの予想もあったが、裏切られた形である。グリーンランド問題を巡っては、欧州各国が強く団結しており、昨年7月の通商合意(ターンベリー合意)に欧州が払ってきた政治的代償を考えると、譲歩の可能性は小さい。
今回のトランプ政権の関税措置が適用されるのは、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、英国、オランダ、フィンランドの8カ国である。この8カ国は、全て北大西洋条約機構(NATO)加盟国で、米国と長年にわたって同盟関係を築いてきた。同8カ国は18日、共同声明を発表し、北極圏の安全保障を強化する必要性への対応だと強調して、演習を開催すると表明し、米国による関税の脅しは「危険な負のスパイラルを招く恐れがある」と警告した。
デンマーク国内では、米国によるグリーンランド支配に断固反対する抗議活動が各地で行われている。デンマークのフレデリクセン首相は、同盟国と「集中的な対話」を行っていると認め、欧州が団結して断固たる姿勢を貫くことがこれまで以上に重要だとの認識を示した。
NATO・欧州の安全保障の枠組みを破壊しかねない事態に、金融市場は、安全への逃避行動がみられる。19日午前のアジア時間での取引では、金価格と銀価格が最高値を更新した。
香港時間午前7時35分時点で、金の現物価格は前日比1.8%上昇し、1オンス=4,690.59ドルの高値を付けた。銀は同3.9%上昇して1オンス=94.1213ドルまで上昇した。同様に、プラチナとパラジウムも上昇した。外国為替市場で、ドルインデックスは前日比0.22%安い、99.153水準で推移している。