連邦政府閉鎖の影響も軽微
1月9日、米国労働省が発表した2025年12月雇用統計では、雇用者数の伸びが事前予想を下回り、雇用市場が緩やかなペースで後退していることを示唆した。ただ、市場が懸念したような失速感や底割れとは言えないペースと言えるだろう。
非農業部門雇用者数は前月比56,000人増にとどまり、速報値64,000人増から下方修正された。民間部門の雇用者数は12月に37,000人増だった。前年同月比では、伸びは大きく減速したことになる。業種別で見ると、雇用の伸びは娯楽・ホスピタリティー業種や医療セクターがけん引した。両分野は2025年の年間ベースでも雇用拡大を主導した。小売りや建設、製造業で雇用が減少した。12月の雇用統計データからは、昨年末時点で雇用市場が脆弱化しつつあるとの現実が透けて見える。ただ、大量の失業につながっているわけではない。人員採用は2009年以降で特に低調な1年となったが、雇用主は大規模なレイオフをおおむね控えている。
家計調査に基づく12月の失業率は11月の4.5%から4.4%に低下した。失業率が小幅低下した背景には、過去最長となった政府機関の閉鎖による影響からの反動という部分がある。解雇が減り、雇用市場に復帰する労働者が少なかったことも理由と考えられる。労働参加率は62.4%に小幅低下。25-54歳の参加率は横ばいだった。
27週以上にわたって失業していると定義される長期失業者は、2025年に40万人近く増加した。これは、2020年以来の大幅増である。経済的な理由からパートタイムでの仕事を余儀なくされている労働者の数は、2020年以来で最大の増加となった。
今後の雇用の先行きについて慎重な見方は多い。昨年から、既に求人数の拡大は限られていた。これにより賃金の伸びは、今後鈍化するとの見通しがメインシナリオとなっている。実際に、12月の平均時給は前月比0.3%増だった。家計消費は富裕層では伸びているが、低所得者では伸びがみられない。二極化はますます進むだろう。今年は12月に中間選挙を控えるが、投票に向けて、労働者の懸念は強まる可能性が高いだろう。
米FRBが昨年末にかけて3会合連続で利下げを実施したことは、雇用市場の軟化傾向を示した今回の統計で、正当化される。問題は、今年の追加利下げ幅を巡って、FRB首脳の間でも見解が分かれている。市場では、次回1月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で政策金利が据え置かれるとの見方が大勢を占めている。これによりS&P500種株価指数は上昇して取引を開始。米10年債利回りは小幅な動きとなっている。