11月PMIは48.2に低下
米国ISMが発表した11月の製造業総合景況指数は0.5ポイント低下して48.2だった。10月は48.7だった。これで9カ月連続の活動縮小となり、11月に製造業活動は4カ月ぶりの大幅な縮小となった。製造業は低迷期を脱却することができないでいる。主な要因は、貿易政策を巡る先行き不透明感や生産コストの高止まりによる足かせに加えて、新規受注が落ち込んだことであろう。11月の新規受注は7月以来の低水準にあり、受注残は7カ月ぶりの低水準となった。仕入れ価格指数は5カ月ぶりに上昇し、1年前からは約8ポイントも高い水準となった。
スーザン・スペンスISM製造業調査委員長は記者会見で、関税を巡る不透明感が需要後退の要因になっていると説明した。財コストの見通しが明確になるまで、顧客が発注を控える傾向にも言及した。見通しが改善するまで、受注状況が好転する兆しは見られないと同氏は予想した。
需要の弱さを背景に、製造業の雇用は前月から一段と縮小した。雇用の減少を報告した企業は全体の約25%に上り、2020年半ば以来で最大の割合に達した。一方、生産指数は拡大圏に持ち直し、4カ月ぶりの高水準となった。セクター別では、11月は衣料品、木製品、紙製品、繊維など11業種が活動縮小を示した。コンピューター・電子製品など4業種では、逆に1年ぶりの活動は拡大した。
直近の米国経済統計はやや弱めの傾向
米商務省経済分析局(BEA)は12月5日に、遅れていた9月の個人所得・支出統計を公表すると発表している。発表内容には、FRBが重視する個人消費支出(PCE)価格指数およびコア指数が含まれる。コア指数は3カ月連続で前月比0.2%上昇する、前年比上昇率は3%をわずかに下回ると予想されている。インフレ圧力は安定してはいるものの、下方硬直性があり、FRBの目標である2%を超える状態が続いている。
こうした状況下では、雇用市場の腰折れを危惧する声も強まっている。直近の雇用統計では非農業部門雇用者数が予想以上に増加したものの、その増加はごく一部の産業に偏っていた。企業からは人員削減のニュースが相次いでおり、失業率はほぼ4年ぶりの高水準に上昇した。こうしたことから、金融市場では、12月9-10日に開催されるFOMCでは、3会合連続での利下げが実施されるとの期待が膨らんでいる。データも十分とは言えず、推定の域を出ない中で、判断せざるを得ない各委員は難しい立場に立たされている。