第3四半期GDPは前年同期比で4.8%増
10月20日に中国国家統計局が発表した7-9月(第3四半期)の国内総生産(GDP)は、前年同期比で4.8%増と、第2四半期の同5.2%増から伸びが鈍化した。第3四半期は、2四半期連続で成長が減速したこととなり、1年ぶりに低い伸び幅となった。国外需要に支えられて輸出が好調だったことが中国経済を下支えた形である。
9月単月では、小売売上高は前年同月比3%増と、昨年11月以来で最も低い伸びだった。1-9月累計での固定資産投資は前年同期比0.5%減少となり、2020年以来初めて減少に転じた。消費者の消費や企業の支出は抑制傾向が続いており、これが成長の足かせとなった。一方で、9月の工業生産は前年同月比6.5%増と、消費や需要サイドが幅広く減速傾向を見せる中で、工業生産は予想外に堅調だった。
過去2年程度でみると、中国経済の傾向は変わっておらず、輸出や工業生産では一定の伸びが保たれている一方で、小売売上高や投資といった国内需要は減速している。
中国は世界的な製品需要を背景にした過去最高水準の輸出に支えられ、米国との貿易摩擦が続く中でも、成長率を政府目標の約5%近辺に維持する支えとなっている。しかし、依然として脆弱さが残っており、デフレや過剰競争が企業収益を圧迫し、個人消費の回復は力強さを欠く。
不動産市況も回復は遠く
関心の高い住宅価格の動向については、9月は価格の下落ペースが加速した。国家統計局が20日発表した9月の新築住宅価格は、主要70都市、政府支援住宅を除くベースで、前月比0.41%下落と、過去11カ月で最大の下げを記録した。また、中古住宅価格は前月比0.64%下落し、こちらも1年ぶりの大幅な下げとなった。
8月に、北京市や上海市では、住宅購入条件の規制を緩和し、一定の要件を満たせば、郊外住宅を無制限に購入することを認めた。第3の都市である深圳市も、同様の緩和策を導入した。主要都市の政府は、不動産市場の回復を目指して住宅購入規制を緩和したが、これまでのところ、その効果は限定的である。不動産市場は依然低迷しており、住宅価格の回復は、在庫がより妥当な水準まで減少する2027年以降になる可能性が高いとの見方も囁かれている。
不動産市場の低迷は中国経済にとっては重しとなっている。住宅価格の下落が続くことで、潜在的な住宅購入者が、不動産の購入を控える傾向が変わっておらず、買い控えの状況が続いている。