
8月13日に発表された7月の米国消費者物価指数(CPI)は、食品およびエネルギーを除いたコアCPIの伸びが加速し、前月比では今年1月以来最大の上昇幅を記録した。一方、財の価格の伸びは抑制されており、トランプ政権の関税賦課による物品価格押上げに対する懸念は限定的となった。
- コアCPI(食品・エネルギー除く):前月比0.3%上昇(市場予想通り)、前年同月比3.1%上昇(市場予想3%)
- 総合CPI:前月比0.2%上昇(市場予想通り)、前年同月比2.7%上昇(市場予想2.8%)
- 6月のコアCPI:前月比0.2%、前年同月比2.9%
7月のコアCPIの加速は、主にサービス価格の上昇に起因している。特にエネルギーを除いたサービス価格は今年1月以来、最も顕著な上昇だった。FRBが注視する住宅・エネルギー除くサービス価格は0.5%と大幅に上昇した。航空運賃は3年ぶりに大幅な増加を記録し、医療サービスや娯楽関連も値上がりした。
財価格は引き続き緩やかな上昇傾向を維持し、玩具やスポーツ用品、家具・家庭用品などの関税の影響を比較的受けやすいとされている品目についても、6月からの伸び率は鈍った。これまではFRBも金融市場も、トランプ政権の関税政策が、財価格に及ぼす影響を懸念してきた。しかし、関税の影響は企業の利益によって吸収され、価格にはあまり転嫁されていない。関税に関しては、今年4月以来、数カ月間にわたり方針転換が繰り返されたために、対応策を決めかねていた可能性はあろう。ただ、8月にかけて主要貿易相手国との合意がなされ、関税引き上げが発効した。今後もインフレに対する影響は継続することが予想される。
全体としては、インフレ動向は、ほぼ予想の範囲内に収まった。一方で、サービス価格が再上昇したことは、現段階では、サービス分野における消費者の需要拡大がインフレを加速させるリスクとなっていることを今回のCPIは示したと言える。
利下げ要求はより強く
FRB首脳は、関税が財部門に持続的なインフレ圧力を与えるか否かについて議論をしてきたが、サービス価格が高止まりする現状では、金融政策判断は悩ましいものとなろう。しかし、外堀は埋められつつある。皮肉なことに、7月FOMCで利下げを見送ったばかりというのに、トランプ政権下の高関税政策にもかかわらず消費財の価格は限定的な伸びとなった。雇用統計も大幅に下方修正された。CPI公表後、トランプ大統領は改めてパウエルFRB議長に対し利下げを要求した。ベッセント財務長官も9月FOMC会合では、FF金利誘導目標を0.5%幅引き下げる選択肢を検討するべきとの見解を述べた。雇用統計が、大幅下方修正された事態を重く見るべきとの論調である。FRB理事の入れ替えを含め、トランプ政権の圧力は増すばかりである。金融市場は年内3回の利下げすら視野に入れ始めている。