
新たな期限は11月10日
8月11日、トランプ大統領は、中国に対する関税の一部を停止する期限を11月10日まで90日間延長する大統領令に署名した。中国政府も、対米追加関税の一部を停止する期限の延長を発表した。米中両国は、双方、相手国に対して24%関税の発動を停止、8月12日をその期限としていた。期限が延長されない場合、米国は、中国製品に対して54%の関税を課す予定だった。
4月にトランプ大統領が相互関税を発表して以来、米中両国は一時100%を超え、一時は145%関税を課す姿勢を見せるなど、対立をエスカレートさせていた。しかし、5月には、双方が報復関税の応酬を停止し、レアアースや一部技術に関する輸出規制を緩和する合意をし、貿易戦争を休戦していた。今回の決定で、その期限が延長されることとなる。これにより、両国の貿易関係は、90日間のモラトリアム的な安定がもたらされる。関税戦争が再燃すれば、米中間の貿易には、深刻な影響が及ぶことが懸念されていたが、今回の決定でこうした不安は緩和されることになる。
交渉は継続
トランプ大統領は自身のSNSへの投稿で、米国の通商政策やこれまでの米中間の合意内容に変更はないとの認識を示し、「我々は中国と、とてもうまくやっている」とコメントした。ホワイトハウスが公表した説明資料でも、日付以外の変更点は記されていなかった。「米国は公平な貿易慣行を促進し、米国の労働者を支えるために、中国との貿易協議を続ける」とした。
中国も同様の声明で、自国の関税停止措置を90日間延長すると発表。防衛・ハイテクに関連する米国企業への輸出規制など関税以外の対抗措置についても、一時停止を継続すると発表した。
一方で、合成麻薬フェンタニルの流通に関連した関税や、中国がロシア産やイラン産原油を購入していることに関連した関税、中国における米国企業への非関税障壁など、未解決の問題は積み残されたままである。
課題は山積み
トランプ大統領が署名した大統領令でも、「米国は中国との経済関係における貿易の非互恵性や、それに伴う国家的・経済的な安全保障上の懸念に対処するため、中国側と引き続き協議を行」うと、交渉の継続を明言した。また、「協議を通じて、中国は非互恵的な貿易慣行の是正と、米国の懸念に対処するための重要な措置」を取るよう求めた。次の期限となる11月10日の直前、トランプ大統領は、10月下旬に韓国で予定される国際会議に出席の予定で、その前後に中国を訪問して、習近平国家主席と会談する可能性も取り沙汰される。