
意見が割れる可能性も!?
今週7月29-30日には、米連邦公開市場委員会(FOMC)の定例会合が開催される。トランプ大統領からは、利下げ圧力が強まるなか、FOMCでどのような議論が行われ、政策が判断されるか注目される。
通商政策は、8月1日の相互関税適用停止期限を前に、大きく変化する可能性がある。世界経済・米国経済の動向を読むことは難しい一方、足元の経済統計は米国経済の足取りが堅調であることを示している。パウエル議長を含む米金融当局者らは、トランプ政権の関税政策がインフレを再加速させるリスクを考慮し、慎重な対応の必要性を強調している。オーソドックスに判断すれば、今回FOMCでも政策金利が据え置かれるとみるのが妥当だろう。
今週は、米国内総生産(GDP)や雇用統計、PCE物価統計が公表される。第2四半期の経済活動は回復基調にあり、GDP速報値は、年率で2.4%増と伸びることが予想されている。田1四半期は0.5%減だったので、回復することになる。一方で、7月の雇用の伸びはやや鈍化することが予想されている。企業は、採用に慎重な姿勢を維持すると見られているためである。失業率は4.2%に上昇し、非農業部門雇用者数の伸びは10万人程度と今年に入って最も低い伸びとなることが予想されている。また、6月のコア個人消費支出(PCE)価格指数が前月比でわずかに加速し、個人所得・支出は伸び悩んだと見込まれており、関税の影響が消費者に徐々に波及している可能性がある。個人消費の予想は前月比1.5%増にとどまる見通しである。住宅市場の低迷も経済活動にとっては、足かせになる可能性がある。
波乱の兆しもないわけではない。ウォラーFRB理事は、雇用市場が「瀬戸際」にあると主張し、今回のFOMCで利下げをすべきだとの見解を先々週明らかにした。6月の雇用統計では、失業率はわずかに低下したものの、民間部門の雇用の伸びが大幅に鈍化し、賃金上昇率も減速したことを指摘したうえで、民間部門は統計ほど堅調ではないとの見解を示している。FOMCでは、投票が割れる可能性が高まっている。