
外需依存続く
7月15日に中国国家統計局が発表した4~6月期の国内総生産(GDP)は、前年同期比5.2%増となり、事前予想の5.1%増を上回った。1~3月期は同5.4%増だった。対米輸出が24%減少したにもかかわらず、外需は引き続き堅調で、米国以外への輸出が伸びた一方、個人消費は依然として弱い傾向が見られた。全体的には輸出増加や財政刺激策が国内需要、建設活動を支え、生産水準は維持しているため、供給は安定しているものの、内需が伸び悩んでいる状態は変わっていない。GDP成長率が予想を上回ったことは、良いことだが、経済全体としては慎重に受け止める必要があろう。中国の年間成長率目標は今年も5%前後に設定されている。
内需は力強さ欠く
6月の工業生産は前年同月比6.8%増で、予想の同5.6%増水準を上回った。特に製造業生産は同7.4%増となり、3カ月ぶりの高い伸びとなった。一方で6月の小売売上高は前年同月比4.8%増で、予想の同5.3%増には届かなかった。5月には大幅な増加が見られた反動もあり、もともと6月は減速が見込まれていたが、実際の落ち込み幅は予想以上となった。飲料、たばこ、酒類、化粧品の販売が前年同月比で減少に転じ、外食サービスも伸びが鈍化した。政府補助金による購買支援が、家電や通信機器、家具の購入を支えたものの、消費全体の押し上げには足りなかった。
国家統計局によれば、4~6月期の経済成長に対する消費の寄与度は52%強となり、今年初からは上昇傾向が見られるが、前年の寄与度60%超には遠く及ばない。また、GDPデフレーターは9四半期連続でマイナスとだった。物価下落の影響により、名目GDP成長率は3.9%となり、四半期集計が始まった1993年以降、新型コロナ流行期を除けば最も低い水準となった。統計局は声明で、「経済は成長を維持しているが、海外には不安定かつ不確実な要素が多く、内需が十分とは言えない」との認識を示した。
下期も課題に直面
主要投資銀行は、第2四半期の成長が予想を上回ったことを受け、2024年の中国経済成長率見通しを4.5~5.0%に引き上げている。ただし、対米輸出の減速や消費者マインドの低迷を背景に、今後の成長鈍化リスクも指摘されている。
中国当局は、価格競争抑制策や需要喚起策を進めているものの、過剰生産能力や財政出動余地の制約から政策手段は限定的な状況となっている。上期に輸出注文が前倒しされた反動や財政刺激策の効果減退により、下期の実質GDP成長率は上期を下回るとの予想もある。加えて、8月中旬に米国との関税合意が終了することから貿易摩擦が再燃する可能性も考えられる。こうした場合には、中国政府が、5000億元から1兆元規模での追加財政刺激策を講じる可能性も取りざたされている。まだ楽観的には見れないということだろう。