
90日間の交渉継続へ
5月10日から11日までの2日間の予定で、ジュネーブで開催されていた米中貿易協議が終了した。中国から何立峰副首相、米国からベセント財務長官とグリア通商代表部(USTR)代表らが出席して協議が行われていた。
12日に協議を終えた、ベッセント米財務長官が記者団に語った内容は、米国側が追加関税を115%引き下げ、90日間の交渉期間に入ることで合意、双方はまた、緊張緩和に向けて協議する枠組みを設けることでも一致したというものだった。
米国は4月以降に相互関税として上乗せ発動した関税125%のうち、115%の適用を停止し、10%関税は残すという。なお、合成麻薬対策に関連した20%の対中追加関税は継続される。
一方、中国側は対米報復として4月2日以降に発動した関税のうち、10%を残して適用を停止する。また、非関税措置も停止する。
双方とも、4月以前に課した関税については維持するため、協議期間の間は、米国の対中関税は30%、中国の対米関税は一部農産物や資源を除いて10%となる見通し。4月にエスカレートした関税合戦で、米国と中国は互いに報復関税を課すと表明し、米国の対中関税は145%、中国の対米関税は125%まで引き上げられていた。その結果、二国間の貿易は事実上停止した状態となっていた。
トランプ大統領は「多くの合意が見いだされた」と述べたが、具体的な合意の内容は明らかにされていない。中国側も、今回の協議を前向きな一歩として評価しているが、果たして今後の協議でどこまで溝を埋められるかは、見通せているわけではない。