
3月の中国・新築住宅価格は、下落幅が縮小 ~米中貿易戦争の影響
中国・住宅価格統計
中国国家統計局が発表した2025年3月の主要70都市における新築住宅価格は前月比0.08%の下落だった。2月の同0.14%下落よりも幅こそ縮小したものの、価格下落は続いている。3月の中古住宅価格も前月比0.23%で下落した。
中国政府は、住宅価格の底入れを目指し、冷え込む不動産市場における需要を喚起する施策を昨年から行ってきたが、ようやく一定の効果を発揮してきたとはいえるだろう。
第1四半期GDPは予想外の伸び
4月16日に発表された、2025年第1四半期の中国経済は国内総生産GDPの伸びは、前年同期比で5.4%増加して、事前予測の中心値である同5.2%増も上回った。予想を上回る伸びを示した。
3月の工業生産は前年同月比7.7%増と、こちらも2021年6月以来の高い伸びとなった。力強い外需を背景に、輸出が伸びたことが工業生産を押し上げた。1-3月の固定資産投資は前年同期比4.2%増加とこちらも、順調な状況に見える。
3月の小売売上高は前年同月比5.9%増加で、伸び率でみれば2023年12月以来の大幅な伸びとなった。これも、国内需要喚起を目的とした消費関連の補助政策が機能している効果だろう。
米中貿易戦争の影響
しかし、4月に入って、トランプ米政権が仕掛けた関税合戦は、中国経済への逆風となりうる。トランプ米政権による大規模な関税措置により、先行き見通しは急速に悪化している。トランプ大統領が中国からの輸入に対して145%の関税を課し、中国政府は米国からの輸入品に対して125%の関税をかける報復関税を発動するが、この影響は、今後、表面化するだろう。
トランプ政権は、『米中デカップリング』の方針を掲げて、米中経済を完全に切り離そうとしているが、双方からの需要の減少見通しを受けて、企業は人員解雇や賃金カットなどで、中国の雇用市場への影響が出始めている。
最大2,000万人もの雇用が、直接間接に対米輸出産業に従事しているとされており、伸び悩む雇用市場は中国の経済にとって計り知れない影響を与えるだろう。