
ドイツで新財政規律が成立
独IFO研究所が3月25日に発表したドイツIFO 企業景況感指数では、3月の期待指数は87.7となり前月の85.6から約2ポイント上昇した。現状指数も改善した。
先月の下院選挙(総選挙)の結果、キリスト教民主同盟(CDU)が政権を奪取し、次期首相となることが有力となったメルツ党首は、キリスト教民主同盟 (CDU)・社会民主党(SPD)・緑の党の3党間で、連立政権構想をほぼ取りまとめた。政策の目玉の一つが、ドイツ連邦の財政規律を厳しく規制していた緊縮財政の縛りを解除することである。これには、憲法の改正が必要だが、迅速な行動により、財政改革法案は、18日に連邦議会(下院)を通過、21日にはドイツ連邦参議院(上院)でも可決・成立した。シュタインマイヤー大統領の署名により、ドイツは防衛・インフラ資金として新たに数千億ユーロを借り入れることが可能になる。
これにより、ドイツの老朽化したインフラへの投資と軍備を強化する財政政策の方針が大転換した。
財政拡張により経済は拡大期待強まる
ドイツの緊縮財政路線は転換点を迎え、財政拡張政策が採られることになった。財政政策の変更を市場は概して前向きに捉えており、ユーロ圏の成長押し上げに寄与するとの期待が強まる。メルツ氏も21日、同法案への期待が強いことを、ドイツを外から見れば、欧州や欧州以外の諸国から聞こえてくるのは、圧倒的にわれわれが合意したことへの肯定的な評価だと述べて、胸を張った。
今回のドイツ企業の景況感改善幅は、2024年6月以降で最も大きいものとなった。財政政策の転換により、ドイツ経済の先行き見通しが上向いていると推測される。経済競争力の確保に向けて、大規模な投資が促進され、経済を近代させるという道筋が、つけられるとの期待が高まっている。
気がかりは関税の影響
ただし、トランプ米大統領による関税引き上げ合戦の影響が、懸念される。欧州最大の経済規模を持つドイツ経済ではあるが、輸出型の産業構造を抱えており、世界貿易が分断されることや関税の影響をより受けやすい。トランプ2.0による政策展開が明確に見通せない中では、先行き不透明感が拭えないだろう。また、関税が実施される段階に至れば、インフレ圧力が顕在化しかねず、実体経済への影響が及ぶだろう。
トランプ政権は、4月初めに『相互関税』の内容を明らかにすると言われている。詳細が公表されれば、景況感を巡る状況は変わるかもしれない。実際に、米国では、トランプ大統領の関税政策により、物価上昇や経済の先行きに対する懸念が強まり、3月の米消費者信頼感は4年ぶりの水準に落ち込んだ。ドイツ経済がこのまますんなりと回復への門をくぐり抜けることができるか注目である。