
BTCは高値から20%下落
トランプ2.0 による政策の変更は、金融市場の至る所に影響を与えている。暗号通貨も最も影響を受けている市場の一つだろう。
トランプ氏の当選直後からは、大統領選挙戦で暗号資産支持を表明してきたことを受けて、暗号資産の価値は全般に上昇、ビットコイン(BTC)は今年1月初めには最高値をつけた。
しかし、2025年に入るとBTCは最高値からは下落に転じ、2月26日の時点で、昨年11月半ば以来の安値、最高値からは20%程度下落した水準にある。
これは、トランプ政権への期待感による資産価格の上昇、すなわち「トランプバンプ」が剥落する流れである。トランプ大統領は、同盟国であろうが、敵対国であろうかを問わず、関税措置や資源などの経済的な権益の確保で、対外的に攻撃的な姿勢を示したことで、国際秩序の不安定化への懸念が強まっている。また、トランプ2.0の政策がインフレ圧力につながることへの懸念が強まっていることが背景にある。
さらに、暗号通貨交換業者のバイビット社が、大規模なハッキング被害に見舞われたことも、嫌気される材料となり、センチメントに悪影響を及ぼした。
暗号資産オプション取引所デリビットのデータでは、米大統領選直後のレベルである権利行使価格7万ドルのプットオプションが注目を集めている。この建玉は、2月28日に満期を迎える建玉の中で2番目に多く取引されている。同日には総額49億ドルの建玉が期限を迎える予定である。
コイングラスのデータでは、2月26日、暗号資産のポジション解消が加速し、わずか4時間あまりで約4.25億ドル相当のポジションが解消されたという。過去3日間で見ると20億ドル余りのロングポジションが閉じられたとのデータも示された。また、ビットコイン現物投資型上場投資信託(ETF)からは10億ドル余りの資金が引き揚げられた。1日の流出額としては昨年1月の同ETF取引開始以来で最大の資金引き出しを記録した。
変動率が相対的に大きい暗号資産は、高リスク資産との認識が強く、金融市場の先行きに不透明感が強まると、不確実性を嫌う投資家がこれらを敬遠することから、価格には下落圧力となりやすい。過去1年間では、機関投資家の参入により、相場の動きは落ち着きが見られたが、暗号資産は依然として個人投資家のフローが大きく、相場の変動はその動向に左右される。短期的には、下値を試す動きになろうが、中長期では分散運用の一環としての投資対象として、組入を考えていく段階にあると見ており、下値を確認して、反転する動きを捉えることを考えたい。