日銀首脳は利上げ示唆
1月15日、植田日銀総裁は、全国地方銀行協会の賀詞交歓会であいさつし、来週23日と24日に開催される金融政策決定会合で、『利上げを行うか議論する』と明言した。
『経済・物価情勢の改善は続いており、それが継続していると確認できれば、それに応じて政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整する』と述べた。判断のタイミングは『経済・物価・金融情勢次第であり、米国の新政権の経済政策を巡る状況や国内の春闘のモメンタムは重要なポイントだ』と付け加えた。
前日14日にも氷見野副総裁が、来週の金融政策決定会合の議論の焦点が「利上げするかどうか」だと明言しており、日銀内では判断に向けた議論が行われていることを示唆した。ただ、氷見野副総裁は、特定の項目をパスすれば利上げを判断するという「チェックリスト」のようなものはないと強調した。
日本銀行首脳は、経済・物価は「見通し通りに改善していく確度が徐々に高まってきている」との認識を持っているのであろう。このところの米国経済指標でも、米国経済が「堅調に推移することがメインシナリオ」と確認できる内容であり、1月20日に就任式を迎えるトランプ次期大統領の出方も確かめることができる。国内物価に目を転じれば、輸入物価は円ベースで前月比「かなり高い伸び」となっており、為替で円安圧力が強いことを注視せざるを得ない。
加藤財務相も否定せず
日本政府の姿勢も、日本銀行の判断を遮るものではないだろう。加藤財務相は15日、「政府と日銀は緊密な連携を取っているが、それを踏まえた上で2%の物価安定目標の持続的、安定的な実現、言い方を変えればデフレ脱却に向けて、適切な金融政策が運営されていくことを期待している」と述べて、利上げへの拒否反応は示さなかった。また、為替動向に関しては「足元の為替は急激な動きがみられる」と認め、「投機的な動向も含め、為替市場の動向を憂慮している」との認識も改めて示し、「行き過ぎた動きに対しては適切に対応を取っていく姿勢に変わりない」と述べた。円安が、利上げ判断を後押ししていることをにじませた。